成見和子のブログ

日々雑感、ジャズ歌詞、映画、読書。法律用語解説も始めました。

ジャズ歌詞解説 ~I'll Remember April~

今日の歌詞解説は I'll Remember April です。

「四月の思い出」という邦題でも知られていますね。

では早速いきましょう。

 

【 This lovely day will lengthen into evening 】

主人公が今どんな状況にあるのか、この文だけではよくわかりません。

this lovely day というのですから、現時点では素敵な時間の中にいる、ということ。

そして will lenghten というのですから、それはまだしばらくは続く、ということ。

でも、into evening なのですから、最終的には日は暮れる、ということ。

一体どんな状況なのでしょう?

 

【 We'll sigh goodbye to all we've ever had 】

この文の最大の疑問は、We が誰を指しているのか、ということ。

一般的な「我々」を指しているのだとしたら、この文の意味は「一日の終わりにあたって、今日の出来事すべてに対して、ため息まじりに別れを告げる」ということになります。

単純に、素敵な一日の終わりの情景、ということになりますよね。

もしもこの We が、次の文の we と同一だとしたら、意味はがらりと変わってきます。

共に過ごしてきた恋人が、これまでの日々にさよならを言う、ということになります。

しかも、will が使われていますから、それはまだ起こっていない。

今日を最後に別れよう、という話になっているのか。

今まさに最後の時間を過ごしているところなのか。

それとも、現時点では別れ話が出ているわけではないけれど、主人公には強烈な別れの予感があるのか。

 

【 Alone, where we have walked together, I'll remember April and be glad 】

この文のポイントは、現在完了形にあると思います。

where we have walked together は「私たちが一緒に歩いてきた場所で」。

現在完了形は「現在とのつながり」に注目する形ですから、have walked には「歩いてきた結果、今ここにいる」というニュアンスを感じます。

主人公と恋人は今一緒にいて、まさにこれから別れを告げようとしているところなのでは、と私には感じられます。

そして、今二人でいるこの場所で、主人公は未来の自分の姿を思い描いている。

それが、Alone, I'll remember April and be glad 。

「(この場所で)ひとりで、私は4月を思い出し、喜ばしく思うだろう」ですね。

 

【 I'll be content you loved me once in April 】

「あなたがかつて4月に私を愛してくれたことを、私は満足に思うだろう」。

過去形 loved が出てきました。

「終わったんだなあ」あるいは「終わるのだなあ」という実感がこもっているように感じます。

 

【 Your lips were warm and love and Spring were new 】

「あなたの唇は柔らかく、愛と春は new だった」。

new の意味は理解できますが、適切な日本語にするのは難しいですねえ。

 

【 But I'm not afraid of Autumn and her sorrow, for I'll remember April and you 】

her は Autumn のことだと思うのですが、「秋」は女性扱い、ってことなのでしょうか。

そのあたりはよくわからないです。

「秋」と「悲しみ」がセットになってる感じは、よくわかります。

後半の for は接続詞で、判断の理由を示します。

文全体で「でも私は秋とその悲しみを怖れない、4月とあなたを忘れることはないから」ということになりますね。

 

【 The fire will dwindle into glowing ashes, for flames and love live such a little while 】

dwindle は「だんだん小さくなる、次第に減少する」

glowing は「白熱している、真っ赤な、赤らんでいる」。

「火はだんだん小さくなって赤い灰となるだろう。炎と愛はこんなにも短い時間しか存続しないのだから」。

 

【 I won't forget, but I won't be lonely 】

「私は忘れない、けれど寂しくはないだろう」ですね。

 

【 I'll remember April and I'll smile 】

「私は4月を思い出して、そして微笑むだろう」。

 

以上、参考になりましたら幸いです。

著作権の関係上、ここでは解説以上に踏み込んだ翻訳・和訳をすることはできません。

皆様それぞれに試みていただければ、と思います。

/// Words by Don Raye, Gene De Paul, Pat Johnston ///

 

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