今日の歌詞解説は My Favorite Things です。
この曲の歌詞の著作権は消滅していて、自由に利用できる状態になっています。
なので、翻訳にもトライしてみました。
解説のあとに全文の和訳を載せてありますので参考になさってくださいね。
ではいきましょう。
【 Raindrops on roses and whiskers on kittens 】
「バラの上の雨粒と子猫のひげ」。
これはもちろん、文ではありません。
説明の加えられた名詞がふたつ並んでいるだけです。
どちらも複数形になってます。
日本語にすると、単数なのか複数なのか、明確さを失うのが面白いですね。
いや、明確さを失っているのではなくて、「雨粒」や「猫のひげ」という日本語が既に「複数」のニュアンスを含んでいるのだとも言えそうです。
【 Bright copper kettles and warm woolen mittens 】
「明るい色の銅のケトルと暖かいウールのミトン」。
ここでの「ミトン」は「鍋つかみ」ではなくて「手袋」の方だと思います。
bright は「明るい、輝く」といった意味の形容詞です。
銅のケトルが bright だというと、私はすぐに「手入れの行き届いた家」が頭に浮かびます。
だって銅はすぐに汚く変色してしまうでしょ?
10円玉を考えてみてくださいませ。
銅の台所用品が bright だというのは、きちんと磨かれて維持されてる、ってこと。
ところで、銅のケトルは複数あるのでしょうか?
いやいや、実際にたくさんあるのかどうか、という問題ではないのですよねえ。
この歌では、ほとんどの名詞が複数形になってます。
それがとても良いリズム感を生み出していて、この歌の魅力となってます。
(歌ってみるとわかります!)
【 Brown paper packages tied up with strings 】
「紐で縛られた茶色の紙包み」ですね。
【 These are a few of my favorite things 】
「それらは、私の大好きなもののいくつかである」。
these は、これまでに挙げた raindrops on roses その他を指しています。
a few of ~ は「~のうちのいくつか、~の一部」といった意味。
few と a few にはニュアンスの違いがあるそうです。
few は「少ししかない、ほとんどない」という否定のニュアンス。
a few は「ないことはない、少しはある」という肯定のニュアンス。
いずれにせよ「多くはない」ということなのですが、主人公は「私の大好きなもの」の例として、ここまでで既に5個挙げてます。
で、まだまだ続くのです!
【 Cream-colored ponies and crisp apple strudels 】
「クリーム色のポニーとカリカリのアップルシュトルーデル」。
strudel は辞書によると「果物・チーズなどを紙のように薄い生地に巻いて焼いたデザート用菓子」だとのこと。
お菓子がたくさんあるのはわかるけど、ポニーもたくさんいるのかな?
名詞がどれも複数になってるのは、自分の大好きなものを頭の中いっぱいに、たくさん思い浮かべてるから、とも考えられそうですね。
【 Doorbells and sleigh bells and schnizel with noodles 】
「玄関のベルとそりのベルとヌードル添えシュニッツェル」。
schnizel は辞書によると「子牛肉のカツレツ」だとのこと。
【 Wild geese that fly with the moon on their wings 】
「羽に月をのせて飛ぶ雁たち」。
geese は goose の複数形です。
wild goose は「雁(ガン、カリ)」。
that は関係代名詞で、that 以下が wild geese を説明しています。
【 These are a few of my favoite things 】
a few なんて言いながら、大好きなものが次々と出てきましたねえ。
【 Girls in white dresses with blue satin sashes 】
「白いドレスに青いサテンのサッシュの女の子たち」。
sash は「帯、飾り帯」。
実は、ここから曲調が明るくなります。
この歌はちょっと悲しげに始まるのだけど、大好きなものをあれこれ挙げているうちに、だんだんと楽しくなって来た、まさにそんな感じです。
【 Snowflakes that stay on my nose and eyelashes 】
「私の鼻とまつげに乗っかった雪の結晶」。
名詞は可能な限り複数形にする、というルール?で作られている歌詞ですが、さすがに「私の鼻」は複数形には出来なかったようです(笑)
【 Silver white winters that melt into springs 】
「春へと溶けていく銀白色の冬」ですね。
情景が目に浮かぶような素敵な表現ですねえ。
主人公の気持ちも明るい春へと溶けていくような、そんな感じがします。
【 These are a few of my favorite things 】
my favorie things は「私のお気に入り」と訳されることが多いですよね。
「お気に入り」という一語で表現できるところが好まれるのだと思います。
「大好きなもの」だと「大好きな」+「もの」という二語になってしまい、シンプルさを欠くためタイトル向きではないのかも。
ただ、意味としては「私の大好きなもの」の方がしっくりくるような気もします。
【 When the dog bites 】
「犬がかみつく時」。
主語は dog になっていますが、主人公の側から言うと「かまれた」ということですね。
この部分の曲調はちょっと暗め。
まるで災難を思い出す時の気分が再現されているかのようです。
【 when the bee stings 】
「蜂が刺すとき」ですね。
【 when I'm feeling sad 】
「私が悲しく感じる時」。
【 I simply remember my favorite things 】
直前の3つの when ~ を受けて「~の時、私はただ私の大好きなものを思い出す」と言っています。
【 And then I don't feel so bad 】
「すると私はそれほど悪い気分ではなくなる」。
最後は開放的な明るさで歌い上げる、という感じです。
よく知られた有名な歌で内容も難しくありませんが、歌詞と曲調の連動に注目(注耳?)して聴いてみると、ちょっと新鮮に感じられるかもしれません。
以上を踏まえて和訳です。
バラに落ちた雨粒 子猫のひげ
輝く銅のケトル 暖かいウールミトン
紐で縛った茶色の紙包み
私の大好きなものよ
クリーム色のポニー
サクサクのアップルシュトルーデル
玄関のベル そりのベル
ヌードル添えシュニッツェル
羽に月を乗せて飛ぶ雁
私の大好きなものよ
白いドレスに青いサテン帯の女の子
鼻とまつげに乗っかった雪の結晶
春へと溶けていく銀白色の冬
私の大好きなものよ
犬にかまれた時
蜂に刺された時
悲しくなった時
ひたすら大好きなものを思い出すの
そしたら
そんなに悪い気分じゃなくなるわ
いかがでしょう。
参考になりましたら幸いです。
/// Words by Oscar HammersteinⅡ ///
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