成見和子のブログ

日々雑感、ジャズ歌詞、映画、読書。

ジャズ歌詞解説 ~Antonio's Song~

今日の歌詞解説は Antonio's Song(アントニオの歌)です。

早速いきましょう。

 

【 Antonio lives life's frevo 】

「アントニオは人生のフレーヴォを生きている」と言っています。

frevo はポルトガル語だと思うのですが、手元に辞書がなくて。

wikipedia によると、「ブラジルの踊りと音楽の形式」だとのこと。

実際にどんなものなのかはわかりませんが、ブラジルらしい踊りと音楽なのでしょう。

ユネスコの無形文化遺産に登録されているとのこと。

 

【 Antonio prays for truth 】

「アントニオは真実のために祈る」ですね。

 

【 Antonio says our friendship is a hundred proof 】

hundred proof は形容詞で、「最高の、純粋の」といった意味です。

a がついて a hundred proof となっているのが???です。

形容詞に the がついて名詞として用いられることはありますが、ここは a ですし。

元の形は a hundred proof friendship で、 friendship が省略されてるのかな? という気もしますが、確信はないです。

いずれにせよ、文全体の意味は「アントニオは、私たちの友情は純粋だと言う」ということだと思います。

 

【 The vulture that circles Rio hangs in this L. A. sky 】

vulture は、ハゲワシ・コンドルなどの大型猛禽のことだそうです。

The vulture that circles Rio は「リオを旋回する vulture 」。

hang は「かかる、たれさがる、上にかぶさる、漂う、たちこめる、差し迫る、近づく」といった意味がありますが、ここでは「迫る」といったあたりかなあ、という気がします。

文全体で「リオを旋回する vulture はこのL.A.の空にも迫っている」ということになります。

問題は、一体何を言っているのか? ということ。

vulture という単語には「ハゲタカのように人を食い物にするヤツ」というニュアンスがあるようです。

だとすると「リオ上空を旋回するハゲタカがL.A.にもやって来て、獲物を狙っている」ということになります。

一方「コンドル」には「雄大、優雅」というイメージもあります。

だとすると「リオ上空を優雅に舞うコンドルがこのL.A.にもやって来てくれた」ということになります。

どちらなのか?

結局、よくわからないです・・・。

 

【 The blankets they give the Indians only make them die 】

「彼らがインディアンに与えた毛布は彼らを死なせただけだった」。

歴史に疎い私には正確なことは言えませんが、「ポンティアック戦争で、イギリス軍士官がインディアンに天然痘ウイルスに汚染された毛布を贈った」という話のことを言っているのだと思います。

前半の they が「インディアンに毛布を贈った主体」を指しているのに対して、後半の them が Indians を指していることに注意が必要です。

なぜこの話が唐突に出て来るのか? と不思議な感じがしますよね。

私は、3番目の文の「純粋な友情」とリンクして、「偽りの友情」の例として挙げられているのかなあ、と考えています。

 

【 But sing a song forgotten for so long 】

命令形です。

「それでも、長く忘れられていた歌を歌いなさい」ですね。

 

【 And let the music flow like light into a rainbow 】

「そして音楽を光のようにあふれさせなさい、虹の中へと」。

 

【 We know the dance 】

「私たちはそのダンスを知っている」。

音楽が争いを救う、みたいな話になってるのに何故ダンス? という気もしますが、これは最初の文の frevo と関連しているのだと思います。

フレーヴォというのは音楽と舞踊が一体になった芸能のようです。

ブラジルの音楽と踊りは分かちがたく一体化したもの、というイメージがあるのだと思います。

 

【 We have, we still have a chance to break these chains and flow like light into a rainbow 】

「私たちには、私たちにはまだ、これらの鎖を断ち切って、光のように虹の中へと流し込むチャンスがある」ですね。

 

【 Antonio loves the desert 】

「アントニオは砂漠を愛する」。

 

【 Antonio prays for rain 】

pray for rain は「雨を求めて祈る」つまり「雨乞い」です。

 

【 Antonio knows that pleasure is the child of pain 】

「アントニオは、喜びは痛みの子供であることを知っている」???

う~ん、難しいです。

pain が先にあって、そこから生まれる子供が pleasure ってことですよね。

痛みがあって初めて喜びが生まれる、痛みを伴わない喜びはない、ということなのでしょうか。

あるいは、痛みの先には必ず喜びが生まれる、ということなのかも。

 

【 And lost in La Califusa when most of my hope was gone, Antonio's samba led me to the Amazon 】

La Califusa がわかりません・・・(涙)

文脈からして地名には間違いないと思いますので、「カリフーザという場所」だと理解しておきましょう。

この文の前半は「カリフーザで途方に暮れて、私の希望のほとんどが消えてしまった時」ということになります。

was gone が、ちょっと不思議な感じがしますよね。

go は受動態になるの? と。

この gone は、go の過去分詞の形をしているけれど、gone という形容詞になってしまっているのです。

辞書にも形容詞として載っていて「過ぎ去った、なくなった」といった意味です。

文の後半は「アントニオのサンバは私をアマゾンへと導いた」ですね。

 

実際の歌では、このあと But sing a song から We have, we still have ~ までの4文が繰り返されます。

 

以上、「わからない・・・」という部分も多かったですが、頑張っていろいろと考えてみました。

参考になりましたら幸いです。

著作権の関係上、ここでは解説以上に踏み込んだ翻訳・和訳をすることはできません。

皆様それぞれに試みていただければ、と思います。

/// Words by Michael Franks ///

 

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