成見和子のブログ

日々雑感、ジャズ歌詞、映画、読書。

アリス・ウォーカー【カラーパープル】(柳沢由美子訳)

アリス・ウォーカー「カラーパープル」を読みましたので、感想などをメモしておきます。

ネタバレになる部分がありますので、未読の方はご注意ください。

 

再読です。

前回読んだのはいつだったか、たぶん30年以上前です。

今回も、やっぱりよかった。

素晴らしい作品です。

一日で読んでしまいました。

一気に読んでしまって、実はちょっと勿体ないことをしたなあ、と。

だって、大河ドラマなのです!

一年かけてじっくりと観たい、そんな感じなのです。

冒頭の悲惨なエピソードから始まって、いろんなことが起きて、長い長い時間をかけて、セリーは「自分」を確立していく。

セリーの周囲の人たちも、それぞれに変容して成長していく。

こう書くと、よくあるお話のように思えるかもしれないけれど、そんな生易しいものではなくて。

何といっても、セリーは「アメリカ南部に生まれた黒人女性」。

スタート地点から既に困難だらけなのです。

そして、セリーが変わるきっかけは「同性を好きになったこと」。

しかもその女性、シャグは夫の愛人。

いやいや、何という設定でしょう!

2023年の現在なら、それほどの衝撃ではないかもしれないけれど、この作品が書かれたのは1982年。

設定に嫌悪感を抱いた人もいたのでは、という気がします。

あ、でも私が前回(30年以上前)読んだ時、驚きながらも受け入れてたなあ・・・。

そうか、現在の私の「多様性」についての感じ方は、当時読んだこの作品のおかげもあるのかも。

(ちなみに、1985年の映画では、同性愛については微妙にぼかされていて、「女の友情」とも理解出来るような描き方がされています。)

上手いなあ、と思うのは、女ふたりの関係を「永遠の愛」や「生涯の伴侶」みたいにしなかったこと。

シャグは若い男性を好きになる、つまり浮気なのだけど、セリーはそれを受け入れるのです。

何かに依存しない生き方を最終的に手に入れた、とでもいうのでしょうか。

結局シャグは戻って来るのだけれど、もしもまたシャグが去っても、セリーはセリーとして生きて行くのだろうなあ、と感じさせます。

 

さて。

この作品はまた映画化されて公開中。

そろそろ終了するみたいだけど、観るか観ないか、どうしよう。

原作が素晴らしすぎるからなあ。

これは違う!ってことになりそうで。

迷い中です。

 

★こちらの記事もどうぞ