私は法律系の専門職です。
主に成年後見分野に取り組んでいますが、相続関係の相談も多いです。
以前、こんなことがありました。
(実際の事案そのものではなく、特定できないようアレンジしてあります。)
父親が亡くなって、田舎の実家の相続手続きをしたい、との相談。
話を聞いてみると、母親は既に亡くなっていて、相続人は3人姉妹。
相談者は長女です。
実家には誰も住んでおらず、名義変更もせずにいたけれど、いつまでも放置するワケにもいかないと思って、とのこと。
私は「まずは3人で話し合って、誰が実家の土地建物を相続するか決めてくださいね。決まったらまた連絡ください。」と助言しました。
しばらくして長女から連絡があり、「みんなで話し合って、私が実家を相続することになりました。自分で名義変更するのは難しそうなので、先生にお願いしたいです」とのこと。
それでは、と数日後に事務所へ来てもらい打ち合わせをした、その翌日。
電話があり出てみると、相手は、この件の二女の夫だと名乗りました。
「私の妻の姉が、相続のことで先生に依頼をしたとのことで、どういうことになっているのかご説明いただきたい」というのです。
いやいや、ご説明など出来るワケがありません。
「二女の夫」は、相続人でも何でもなく、いわば部外者です。
関係ない相手に、依頼の内容をペラペラしゃべるなんてこと、あり得ません。
守秘義務がありますから。
「お答えできない」ということを、柔らか~くお伝えして電話を切りました。
それにしても困ったなあ、このまま進めて大丈夫かな、どうしたものか・・・。
と考えているところへ、今度は長女から電話。
「妹が、ちょっと待って、と言い出して。何故だかわからないんですけど・・・」と困惑のご様子。
「妹さんのご主人が口出しされたようですよ」とも言えず、「もう一度よく話し合ってくださいね。私への依頼はいったんキャンセルとしましょう」とお伝えしたのでした。
時々あるのです、こういう類いのことが。
こういうことがあると、私はものすごく消耗してしまいます。
何日も引きずるような疲れ方をするのです。
それをずっと「法律を理解できない人、法的思考の出来ない人と接すると疲れる」のだと思っていたのです。
この件で言えば、「自分は当事者ではないのに、質問すれば答えてもらえると考える、そのおかしさ」にイライラしてしまうのだと。
最近になって、ちょっと違うと気がつきました。
私が反応していたのは「妻が自分の問題を自ら処理することを許さない夫の態度」だったのでは?
そこに気がついてから、これまでにあった不快な出来事の数々を思い返してみました。
やはり共通点があるようです。
「支配しようとする者の匂い」とでも言うのでしょうか。
夫婦間に限らず、親子でも、きょうだいでも、相手の意思決定に介入して自分の支配下に置こうとする人の言動には共通するものがあるようです。
そして、私はこれに強く反応してしまうようです。
要するに、こういうタイプの人は大嫌い、ってこと。
法律を仕事としていることとは関係なく、もっと根源的に、人として苦手。
だからこんなにも疲れるのだなあ、と腑に落ちた次第です。
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