成見和子のブログ

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ジャズ歌詞解説 ~Lover Man~

今日の歌詞解説は Lover Man です。

早速いきましょう。

 

【 I don't know why, but I'm feeling so sad 】

「なぜだかわからないけれど、私はとても悲しく感じる」ですね。

 

【 I long to try something I've never had 】

long は動詞で、「あこがれる、熱望する、切望する」。

long to ~ で「~するのを熱望する」という意味になります。

something I've never had は「私がこれまでに経験したことのない何か」。

something のあとに関係代名詞( which または that )が省略されています。

have という動詞は、日本語にするのが本当に難しいのですが、ここは「経験する」が近いのでは、と思います。

文全体で「私は、これまでに経験したことのない何かをやってみたいと切望している」ということになりますね。

 

【 Never had no kissin' 】

主語が見当たりませんが、 I が省略されているのだと思います。

「私はキスを経験したことがない」ですね。

never と no 、二つの否定語が使われているので、全体では肯定になりそうですが、ここは明らかに否定の意味です。

くだけた言い方や俗語では、「否定語+否定語」が否定を表す場合があるのだそうです。

 

【 Oh, what I've been missin' 】

ここの what は、感嘆を表す「どれほど、どのくらい」という意味の副詞だと思います。

辞書に What he has suffered! (彼がどんなに苦しんだことか)という例文がありました。

「ああ、私はどれほど miss していることか」。

この miss は「~がなくて寂しく思う」というよりは「取りそこなう、(目標に)届きそこなう、乗り遅れる、機会をのがす」といった意味だと思います。

皆が経験しているらしい素晴らしいものに自分は未だありつけていない、それが悔しい、腹立たしい、という感じでしょうか。

 

【 Lover man, oh, where can you be? 】

「ああ lover man 、あなたはどこにいるの?」。

lover man は「私の恋人となる男性」ってことでしょう。

 

【 The night is so cold and I'm so all alone 】

「夜はこんなにも寒く、私はこんなにも全く孤独」。

 

【 I'd give my soul just to call you my own 】

call ~ ... は「~を ... と呼ぶ、~を ... とみなす」です。

call you my own で「あなたを私のものとする」ということになります。

文全体で「あなたを私のものとするためになら、私は魂を差し出すだろう」ですね。

 

【 Got a moon above me but no one to love me 】

主語 I が省略されているようです。

それから、後半部分は動詞も省略されています。

復元すると、 I got a moon above me but I got no one to love me となると思います。

「私の上には月があるけれど、私を愛する人は誰もいない」ですね。

 

【 Lover man, oh, where can you be? 】

where are you? ではなくて where can you be? なのは、何故なんでしょう。

何かしらニュアンスに違いがあるのだと思うのですが。

手元の文法書に、can の用法として「強い疑い」というのがありました。

疑問文で「一体全体どうして~か」という意味になるようです。

そうだとしたら、「私の恋人になるはずの人よ、ああ、あなたは一体全体どこにいるの?」ということになりますね。

 

【 I've heard it's said that the thrill of romance can be like a heavenly dream 】

I've heard ~ は「~だと聞いている」。

it's said that ~ は「~と言われている」。

つまり、that 以下の内容が主人公の周囲で言われていて、主人公はそれを聞いている、ということ。

で、その内容が「ロマンスのスリルは、天国のような夢みたいなものであり得る」。

何だか妙な言い回しになってしまいましたが、要するに、天国みたいに夢みたいにワクワクするような体験ができるかも、ってことですね。

周囲の皆がそんなことを言っていて、主人公はそんな話を聞いていて、でも自分はまだそんな経験をしたことがなくて、というか、そもそもまだ恋人もいないし、という状況なのですねえ・・・。

 

【 I go to bed with a prayer that you'll make love to me, strange as it seems 】

I go to bed with a prayer は「私は祈りと共にベッドに入る」。

that you'll make love to me が祈りの内容です。

「あなたが私と愛を交わしてくれますように」。

strange as it seems は「変に思えるけれど」。

as が「~だけれども」という意味で使われる場合は、この語順になります。

文語調の堅い表現です。

 

【 Someday we'll meet and you'll dry all my tears and whisper sweet little things in my ears huggin' and kissin' 】

長い文ですが、難しくはありません。

「いつか私たちは出会って、あなたは私の涙をすべて拭って、ハグしてキスしながら私の耳に甘くかわいい言葉をささやくでしょう」。

 

【 Oh, what we've been missin' 】

最初の方に出て来た文とほとんど同じですが、I が we になってます。

素晴らしい経験を逃しているのは私だけじゃなくて、私の恋人になるはずのあなたもなのよ、ってことでしょうか。

 

【 Lover man, oh, where can you be? 】

まだ見ぬ恋人を求める魂の叫び、なのですねえ・・・。

 

以上、参考になりましたら幸いです。

著作権の関係上、ここでは解説以上に踏み込んだ翻訳・和訳をすることはできません。

皆様それぞれに試みていただければ、と思います。

/// Words by Jimmy Davis, Roger 'Ram' Ramirez & Jimmy Sherman ///

 

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