今日の法律用語解説は「法定相続分・指定相続分」です。
早速いきましょう。
「法定相続分」は、法律の規定により定められた相続分です。
「配偶者が2分の1、子供が2分の1。子供が複数の時は2分の1を人数で等分する。」というアレですね。
もちろん他にもいろいろなパターンがあるのですが、この基本形をご存じの方は多いでしょう。
(正確な内容を知りたい方は「民法900条」で検索してみてください。)
この法定相続分が、いろんな場面での「基準」として働きます。
法定相続分に優先するのが「指定相続分」です。
遺言で、法定相続分とは異なる相続分を定めることができるのです。
(正確な内容を知りたい方は「民法902条」で検索してみてください。)
指定相続分は法定相続分に優先します。
亡くなった方の意思が優先で、それがない場合には法律の規定による、ということですね。
その意思表示は「遺言」によらなければなりません。
「親父は生前、長男である俺に『財産の4分の3をやる』と言っていた。だからその意思を尊重すべきだ!」は通らない、ということです。
「遺産分割では、相続人全員の合意があれば、どんな分け方をしてもかまわない」と聞いたことのある方も多いでしょう。
確かにそのとおりなのですが、それは「法定相続分を変更できる」という意味ではありません。
「全員が合意してるんだったら、別に法律が口出ししなくてもいいよね」ということなのです。
ただしそれは「自分たちの内輪ではOK」ということ。
全員が合意して法定相続分と異なる遺産分割をした場合でも、対外的な関係では法定相続分を基準として処理される場面もあるのです。
「特別受益とか寄与分とかあるでしょ。あれによって相続分が修正されるのでは?」と思われた方もいらっしゃるかも。
確かに、具体的な取り分の修正は行われます。
でもそれは「法定相続分が変更される」ワケではありません。
「介護」の例でご説明しましょう。
「私は母の介護を一人で担った。あれだけ頑張ったのだから相続分は5割増しぐらいになるはずだ。いや、倍になってもおかしくない!」と感じたとしても、その「感覚」は法律の世界では通りません。
実のところ「介護」が「寄与分」として認められるのはなかなか難しいのですが、仮に認められたとしても、それは「基準となる割合が大きくなる」のではありません。
「介護によって寄与した額を具体的に数字で算出して修正を加える」ということなのです。
その修正の結果、具体的な取り分は法定相続分よりは多くなります。
が、往々にしてその結果は、期待とはかけ離れたものになります。
この結果を破るのは、結局のところ「指定相続分」しかありません。
介護に貢献してくれた人に報いるには「遺言」が効く、ってことですね。
以上、今日の法律用語解説は「法定相続分・指定相続分」でした。
参考になりましたら幸いです。
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