成見和子のブログ

日々雑感、ジャズ歌詞、映画、読書。法律用語解説も始めました。

侍タイムスリッパー【ネタバレ注意】

「侍タイムスリッパー」観ました。

いやいや、評判どおり。

面白くて楽しくて、観てよかった!

 

難解さゼロ。

易しい映画です。

筋を追うのに何の苦労もありません。

展開に乗っかっていけばいいだけ。

 

荒唐無稽さとリアリティのバランスが絶妙です。

設定は荒唐無稽。

でも、心理や行動にはリアリティがある。

「もしもこんな状況に置かれたら、こう感じて、こう考えて、こんな行動をするだろうなあ」という納得感があります。

 

江戸幕府がもはや存在しないことを受け入れられずにいた高坂が、ショートケーキに驚き、この国は豊かになったのだ、と理解するシーン。

笑えるのですけど、わかるなあ、です。

理屈じゃないんですよねえ。

こんなふうに「生の体験から直接悟ってしまう」ことって、ありますよねえ。

 

そうやって、状況を受け入れながら前へ進む高坂。

その高坂が、風見との対決を決心するに至る、その過程がスゴイ。

「会津藩士」という設定は、このためだったのか・・・。

 

高坂がタイムスリップした後の会津藩について、多くの人はある程度の知識を持っています。

この映画はそれをうまく利用してます。

高坂が会津藩士たちの運命を知るのと同時に、観ている我々も(それぞれの知識に応じて)それぞれに脳内で映像化してしまうのですよねえ。

だから高坂の決意に対して「そんなバカなことやめとけ! 今の世界で十分にやっていけてるのに!」とは言えない気分になってしまう。

 

「観る者の内部にあるものをうまく利用する」という点では、風見がタイムスリップしてからの経過の見せ方もお見事。

我々は「タイムスリップした後の高坂」をたっぷりと見せられていますから、編集された「風見ストーリー」を理解する下地が整ってます。

だから、瞬時に「ああ、風見はこうやって生きてきたんだなあ・・・」と納得できてしまう。

 

風見が時代劇から離れた理由も「ああ、そうか・・・」と腑に落ちます。

もちろん、実際に人を斬った経験のある人はいないでしょうけど、それでも「風見の気持ちはわかるなあ」と感じる人は多いはず。

 

やはり、この映画は平易です。

「この場面でこんなことを感じるなんてあり得ない」とか「こんな状況でこんな行動を取ることはあり得ない」ということが皆無なのです。

誰にとっても「わかるなあ・・・」だらけ。

おかしいのは「状況」だけなのです。

状況のおかしさは、この映画においては「前提」ですから、そこに異を唱える人はいませんし。

 

「平易」というのは「観る人を選んだりしない」ってこと。

誰が観ても面白い、ってこと。

 

必見です!