グリーン・ドルフィン・ストリート(Green Dolphin Street)を観ました。
英仏海峡にあるサンピエール島のグリーンドルフィン通りから始まって、最後にはまたそこへ戻って来る、壮大な物語です。
「英仏海峡のサンピエール島」が実在するのかどうか、よくわかりません。
たぶん架空の島なのだろうと思います。
邦題は「大地は怒る」だとのこと。
ニュージーランドでの大地震の場面がありますので、そこから来ているのでしょうが、ちょっとミスリーディングな邦題かなあ、という気がします。
主人公たちは、避けがたい自然の力に翻弄されながらも生き抜いていきます。
そこには、「大地は怒る」という言葉から連想するような、「怒りに触れた」とか「罰を受ける」というイメージは伴っていないのです。
なので、ちょっと違うかなあ、と。
邦題による先入観を持たずに観ていただきたいなあ、です。
それはそれとして、大地震の描写はスゴイです。
物語の序盤、マリアンヌとウィリアムが商船「グリーンドルフィン」を見に行き、船長に招かれてニュージーランドの話を聞く場面があります。
ウィリアムはニュージーランドで活躍することを夢想し、その後紆余曲折を経て実際にニュージーランドで活動するようになるのですが、その夢や希望との対比が激しいです。
ウィリアムをニュージーランドへと導いたオハラ船長も、この地震の津波で亡くなってしまいますし。
それでも先へ進もうとする夫婦の姿はたくましいです。
これはやっぱりマリアンヌでなくちゃね、マルゲリートじゃないよね、なのです。
マルゲリートに恋をしていたウィリアムが、酒に酔っていたとはいえ、手紙の名前を書き間違える、そんなことってアリなの? ちょっと設定が苦しいんじゃない? というのは正直な感想です。
「それが運命だったのだ」と思わせる描写は、あちこちに散りばめてあります。
ウィリアムの父親エドモントも酒の問題があって、マリアンヌとマルゲリートの母であるソフィーとは結ばれなかった、けれど結果としてソフィーは結婚相手のオクタビアスとの間に信頼と愛情を築いた・・・
オハラ船長からニュージーランドの話を聞くウィリアムの側にいたのはマルゲリートではなくマリアンヌだった・・・
ウィリアムの学資を父に出させるよう実際に行動したのはマリアンヌだった・・・
マルゲリータの絶望には寄り添ってくれる存在があった、それはかつて母ソフィーを救った修道院の院長だった・・・
他にも色々と読み取ることは可能ですが、それにしても書き間違えるとは・・・ですよねえ。
そうそう、ティモシー・ハスラムがあまりにも魅力的で。
ハスラムがもともとマリアンヌのことが好きなのは、観ている方は知っています。
マリアンヌがニュージーランドに来てからの彼の苦しみは、ウィリアムにもマリアンヌにもわからない。
でも、観ている者には、彼の表情や行動の意味がいちいちわかる。
この切なさがたまらないんですよねえ・・・
演じているのはヴァン・ヘフリンという俳優さんだそうです。
素晴らしい演技です。
ジャズの名曲 On Green Dolphin Street は、もともとこの映画のために作曲されたものです。
ジャズ好きの皆様、ぜひいちど映画も観てくださいませ!