成見和子のブログ

日々雑感、ジャズ歌詞、映画、読書。「やさしい法律用語解説」は現在準備中。

ジャズ歌詞解説 ~The Shadow Of Your Smile~

今日の歌詞解説は The Shadow Of Your Smile 。

ヴァースから解説していきます。

 

(Verse)

【 One day we walked along the sand, one day in early spring 】

「ある日私たちは砂浜沿いに歩いていた、早春のある日のことだった」ですね。

one day in early spring は、最初の one day を言い換えたもの、説明したものだと考えればよいと思います。

 

【 You held a piper in your hand to mend its broken wing 】

「あなたは傷ついた羽を手当てするためにシギを手に持っていた」。

piper は sandpiper のことだと思われます。

鳥の「シギ」です。

この歌は、映画「The Sandpiper」の主題歌。

邦題は「いそしぎ」。

この文は、物語の具体的なシーンを表している、ってことですね。

私は映画は観ていないので、鳥の大きさなどはイメージ出来ていないのですけど。

(手に「載せていた」のか、「抱えていた」のか、適切な日本語が選べない、ってことです。)

 

【 Now I'll remember many a day and many a lonely mile the echo of a piper's song, the shadow of your smile 】

実は、この文の「mile」がわからないのです。

距離を表す「マイル」では意味が全く通りませんし・・・。

何か別の意味があるのかな? と考えてみたのですが、手がかりは見つかりませんでした。

いろいろと聴いてみると「night」と歌っているものがありましたので、実はここは「lonely night」なのでは? という気もします。

そう考えると、many a day and many a lonely night は「幾日も、そして孤独な幾晩も」ということになります。

(形容詞がくっついた名詞がふたつ、文の途中に挿入されて、副詞的に働いている、ってことです。)

文全体で「そして私は、幾日も、孤独な夜を幾晩も、シギの鳴き声の反響とあなたの微笑みの影を思い出すだろう」ということになりますね。

shadow は、ここでは「影のようなもの、実体のないもの、まぼろし、幻影」といった意味だと思います。

echo も「実際の反響、エコー」ではなくて「過去のもののなごり、痕跡」というニュアンスだと思います。

空耳(そらみみ)みたいな感じかなあ、と。

 

ここまでがヴァースです。

ではコーラスへいきましょう。

 

(Chorus)

【 The shadow of your smile when you are gone will color all my dreams and light the dawn 】

「あなたが去ったら、あなたの微笑みの幻影は、私の全ての夢を彩り、夜明けを照らすだろう」ですね。

when you are gone は、文頭あるいは末尾にくるのが通常だと思うのですが、途中に挿入される形になっています。

これでOKなのかな? と疑問に感じたりもするのですが・・・歌詞だからOK、ってことなのでしょう、たぶん。

 

【 Look into my eyes, my love, and see all the lovely things you are to me 】

あぁ・・・私にとって最高に難しい表現が出て来ました・・・。

all the lovely things you are to me です。

一体どう説明したらよいのだろう・・・でございます。

ジャズの有名な曲に All The Things You Are というのがありますが、あれと同じ。

things のあとに関係代名詞(that または which)が省略されているのだと思います。

昔の英語教師風直訳をするならば、all the lovely things(that)you are to me は、「あなたが私にとってそうであるところの、それらの素敵なもの全て」ということになりますでしょうか。

つまりは「あなたの(素敵な)全て」ということなのでしょうが、そう言ってしまうと、やっぱりちょっと違うような・・・。

ここは「言語の構造の違いによるもので、完全な説明はムリだけど、何とか理解して!」としか言いようがないです。

Look into my eyes は命令形で、「私の眼をのぞき込みなさい」です。

see 以下も文法的には命令形で、「~を見なさい」ということですが、つまりは「私の眼の中を見てごらん、愛しい人よ、あなたの素敵な全てのものがそこに見えるから」ということですね。

 

【 Our wistful little star was far too high 】

wistful は「(手の届かないもの・過ぎ去ったことなどを)思いこがれた、せつない、思いに沈む、哀愁をおびた」。

「私たちの哀しげな小さな星は高すぎた」・・・この文が物語の何らかのシーンに関係しているのか、それとも抽象的な意味合いなのかは、わからないです。

いずれにせよ、つまりは、二人の願いはかなわず別れることになった、ってことなのでしょう。

その切なさを、高くて遠くて小さい星に投影してる、という感じでしょうか。

 

【 A tear drop kissed your lips and so did I 】

「涙が一粒あなたの唇にキスをして、私もあなたにキスをした」。

and so did I は and I kissed your lips ということです。

do には「前にある動詞(+目的語、補語など)の反復を避けるために用いる」という用法があるのです。

あなたの眼から流れた涙の一粒があなたの唇に落ちた、そこへ重ねて私がキスした、という状況ですね。

・・・こんな状況、説明する必要があるんだろうか、と思いつつ書いてます(笑)。

 

【 Now when I remember spring, all the joy that love can bring, I will be remembering the shadow of youe smile 】

「私が春を、愛がもたらす全ての喜びを思い出す時、私はあなたの微笑みの幻影を思い出すことになるだろう」ですね、文頭の Now を除けば。

Now が恐ろしくムズカシイです。

辞書には「今、今では(もう)、目下の事情では」とあります。

私はかけがえのない体験をした、その体験を経た「今では」未来はこれまでと同じではない、心にはあなたが刻まれ、忘れられず、ずっと思い出すことになる・・・というニュアンスだと思うのですが。

これをどう日本語にするか、というのは訳詞の世界ですので、ここでは踏み込みませんが、ニュアンスを感じ取っていただければなあ、と思う次第です。

 

以上、参考になりましたら幸いです。

著作権の関係上、ここでは解説以上に踏み込んだ翻訳・和訳をすることはできません。

皆様それぞれに試みていただければ、と思います。

/// Words by Paul Francis Webster ///

 

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