成見和子のブログ

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ジャズ歌詞解説 ~Old Devil Moon~

今日の歌詞解説は Old Devil Moon です。

早速いきましょう。

 

【 I look at you and suddenly something in your eyes I see soon begins bewitching me 】

長い文ですけれど、構造は簡単です。

I look at you がひとかたまり、suddenly 以下がひとかたまりで、その二つの部分が and で繋がっています。

文全体で「私はあなたを見る、そして突然~」ということになります。

suddenly 以下の部分のうち、 something in your eyes I see が主語で、soon begins bewitching me が述語です。

something in your eyes I see は「私が見るあなたの眼の中のなにか」。

I の前に関係代名詞( which または that )が省略されています。

soon begins bewitching me は「すぐに私を魅了し始める」。

 

【 It's that old devil moon that you stole from the skies 】

「それは、あなたが空から盗んだ、あの old devil moon だ」ですね。

old devil moon が難しいですねえ・・・。

難しいけれど、何だかわかる気もします。

ジャズ歌詞では moon という単語は頻出です。

何かしら魔法のような力を持つ存在として出て来ることが多いです。

それにしても、devil moon とは何と強烈な・・・。

惑わせ、狂わせるもの、というイメージですね。

ここでの old は「老練な、老巧な、狡猾な」といった意味合いかな? と思います(ちょっと自信ないけど)。

that old devil moon の that にも、単なる「あの」という以上のニュアンスがあるように思います。

「皆が知っている、あの」、「以前に経験したことのある、あの」、「例の」という感じでしょうか。

 

【 It's that old devil moon in your eyes 】

「それは、あなたの眼の中の that old devil moon だ」。

 

【 You and your glance make this romance too hot to handle 】

make ... ~ は「... を~」にする。

too hot to handle は「扱うのには熱すぎる」。

文全体で「あなたとあなたの一瞥は、このロマンスを耐えられないほどの熱さにする」ということになります。

 

【 Stars in the night blazing their light can't hold a candle to your razzle-dazzle 】

この文の主語は stars in the night blazing their light です。

「その光を輝かせている夜の星たち」ですね。

can't hold a candle to ~ は「~の足元にも及ばない、~とは比べものにならない」。

razzle-dazzle は「混乱、めちゃくちゃ、攪乱策、目くらまし戦術、はではでしさ、お祭り騒ぎ、派手な宣伝・・・」と、辞書にはいろいろと載っています。

ここでは「悪魔が仕掛けた目くらまし」みたいな感じかも。

夜の星たちのキラキラした輝きなんて、ギラギラと派手なあなたの輝きとは比べものにならない、ということですね。

 

【 You've got me flyin' high and wide on a magic carpet ride full of butterflies inside 】

get ... ~ing は、ここでは「 ... を~の状態にさせる」という意味です。

you've got me flyin' high and wide で「あなたは私を高く広く空を飛ばせた」ということになりますね。

magic carpet は「魔法のじゅうたん」。

ride がちょっと???なのですが、「乗ること」という意味の名詞なのではないかなあ、と思います。

とりあえず  on a magic carpet ride で「魔法のじゅうたんに乗って」だと考えておきましょう。

butterfly には「(緊張・不安などによる)落ち着かない気持ち、心配」という意味があって、ここはそれかなあ、と思います。

full of butterflies inside で「心の中は不安でいっぱいになりながら」ということになります。

 

【 wanna cry, wanna croon, wanna laugh  like a loon 】

主語がありませんが、 I が省略されているのだと思います。

wanna は want to と同じです。

want to をくだけて発音した際の音をそのまま綴りにしたもののようです。

croon は「(感傷的に)小声で歌う、口ずさむ」。

loon はいろいろと意味があるようですが、ここでは「ばか者」といった意味だと思います。

croon と韻を踏むために選ばれた単語だろうと思います。

それにしても、主人公は泣きたくなったり歌いたくなったりバカみたいに笑いたくなったり・・・いやいや、old devil moon の魔力は絶大です・・・。

 

【 It's that old devil moon in your eyes 】

自分を狂わせているのは、相手の眼の中の old devil moon だと、主人公はわかっているのですねえ。

わかっていても、どうにもならないのでしょう・・・。

 

【 Just when I think I'm free as a dove, old devil moon deep in your eyes blinds me with love 】

「自分は鳩のように自由だと思っている、まさにその時に、あなたの眼の深いところにある old devil moon が、恋で私を盲目にする」。

自分は理性を失っていない、精神の自由は保っている、と考えているのだけれど、あなたの眼をみると一瞬にしてそれが崩れ去って分別を失ってしまう、という感じでしょうか。

 

以上、参考になりましたら幸いです。

著作権の関係上、ここでは解説以上に踏み込んだ翻訳・和訳をすることはできません。

皆様それぞれに試みていただければ、と思います。

/// Words by E.Y.Harburg///

 

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