成見和子のブログ

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「相続では借金も引継ぐ」は実はアタリマエじゃなかった。

私、法律系の専門職です。

先日も相続放棄の相談を受けました。

お話を伺うと、特に難しいことのない単純な案件。

ご自身で手続き出来そうでしたので、管轄の家庭裁判所のホームページを御案内して相談は終了。

この頃は、専門家でなくても正確な情報の入手が容易なので、専門家に依頼するまでもないケースも多いのです。

「借金を相続したくないときは3か月以内に相続放棄を!」という情報も、皆さんよくご存じです。

テレビやら雑誌やらで相続の話題が取り上げられることも多いですし、ネットで検索すれば情報はいくらでも得られます。

時にはヘンな情報も混じっていて、混乱される方もいらっしゃいますが・・・。

そんな時には「官公署が出している情報」を見るのがいちばん。

「相続放棄のやり方」だったら「裁判所のホームページ」一択。

「素人の経験談」なんかを鵜呑みにしちゃダメでございます。

 

ところで。

「相続」というと「遺産をもらうこと」だと考えている方もいらっしゃいますが、正確には「財産上の権利義務を包括的に承継すること」。

つまり「権利も義務もひっくるめて引継ぐ」のが相続なのです。

だから借金があれば引継がなくてはなりません。

借金は「義務」ですから。

預貯金などのプラスの財産があって、それが借金よりも多ければ、どちらも引継いだ上で借金を返済する(義務を果たす)ことになります。

でも、借金の方が多い場合、相続人に引継がせるのは気の毒ですよね。

なので「相続放棄」の制度がある、ってワケ。

 

そんなの知ってる!

アタリマエ!

常識!

・・・でしょうか?

 

実はこれ、「日本ではアタリマエ」というのが正確なのです。

「日本ではそういう制度になっている」ということなのです。

「相続では借金は引継がない」という国もあるのです。

 

日本のようなタイプの相続制度は「包括承継主義」と呼ばれます。

これに対するのが「管理清算主義」。

アメリカなどでは管理清算主義が採用されています。

ざっくり言うと「遺産管理人が借金を清算し、残った財産を相続人に分配する」というもの。

この形だと、相続人は「思わぬ借金を背負わされるかも」なんていう心配をしなくて済みます。

借金の心配なしに財産をもらえるのですから、管理清算主義の下では「相続とは遺産をもらうことである」という理解は間違っていない、ということになりますね。

 

それは素晴らしい!

なんで日本はそうなってないの?

・・・と思われますか?

いやいや、そう単純ではないようです。

やたらと時間がかかったり、高額な弁護士費用がかかったりするらしいです。

それもまた大変ですよねえ・・・。

 

あ、どちらが良いとか、そういう話をしたかったワケではないのです。

「アタリマエ」と思っていたことが、実は「『この国では』アタリマエ」でしかない、というお話でした。

 

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