成見和子のブログ

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ジャズ歌詞解説 ~Pretend~

今日の歌詞解説は Pretend (プリテンド)です。

早速いきましょう。

 

【 Pretend you're happy when you're blue 】

pretend は「~のふりをする」。

pretend illness だったら「仮病をつかう」という意味になります。

辞書にはいろんな面白い例文が載ってます。

pretend to be sleeping 「たぬき寝入りをする」。

寝たふり、ってことですね。

She pretended not to know me.「彼女は私を知らないふりをした」。

何だかよくない場面ばかりのような気も・・・。

Let's pretend (that) we're pirates.というのもありました。

子供の遊びの場面で、「海賊ごっこをしよう」ということですね。

歌詞に戻りましょう。

Pretend (that) you're happy で「あなたは幸せである、というふりをしなさい」ということになります。

命令文です。

when you're blue は「あなたが憂うつな時には」。

when は接続詞ですが、単純に「~の時は」というよりも、「~にもかかわらず、たとえ~とはいえ」というニュアンスを表しているように思います。

全体で「憂うつなときでも幸せなふりをしてごらん」という感じでしょうか。

 

【 It isn't very hard to do 】

「そんなに難しいことじゃないよ」ですね。

very はもちろん「たいへん、非常に」という意味ですが、否定文の中で使われると「全く~ではない」というニュアンスになる場合と「あまり~ではない」というニュアンスになる場合があるようです。

文脈から判断することになりますが、ここでは「そんなの全然難しくないよ!」と言っているようにも思えないので・・・。

実際、ブルーな気分なのにハッピーなふりをする、って難しいですよねえ。。。

 

【 And you'll find happiness without an end whenever you pretend 】

「そして、幸せなふりをするたびに、終わりのない幸せを見つけることができるだろう」・・・なのですが、最初の and がちょっと引っかかります。

歌詞の最初の命令文とセットになっているのでは? と思うのです。

命令文+and で「~しなさい、そうすれば~」という意味になることがあるのですが、ここもそれのような気がするのです。

間に It isn't very hard to do という文が入っていますから、やっぱり最初の文とは別の独立した文だろうなあ、とは思うものの、意味としては「命令文+and ~」のニュアンスだよなあ、と。

ま、whenever に「~する時はいつでも、~すれば必ず」という意味合いがありますから、あまり深く考える必要はないかも、なのですが。

 

【 Remember anyone can dream and nothing is as bad as it may seem 】

命令文です。

最初にここを読んだ時、命令文+and の形かな?と思ったのですが、and のあとが現在形なので、違うと思います。

remember の内容が二つある、ということになりますね。

全体で「誰もが夢を見ることができる、そして何事も見た目ほど悪くはない、ということを忘れないで」という意味になります。

 

【 The little things you haven't got could be a lot if you pretend 】

the little things (that) you haven't got がこの文の主語です。

「君が手に入れていない小さなあれこれ」。

could be a lot は「たくさん(どっさり)になるかも」。

a lot は、何となくイメージはできますが、日本語にするのは難しいですねえ。

たくさん、どっさり、全部、多量、大量、山積み、山盛り、てんこ盛り・・・う~ん、難しいです。

(ちなみに、商品などの「ロット」も、この単語 lot です。)

if you pretend は「君がそのふりをすれば」。

欲しいけど手に入らなかったあれやこれや。

それが目の前に山盛り、山積みに・・・「何だって手に入る」というふりをすれば実際にそんなことも起きるかも、と言っているのですね。

 

【 You'll find a love you can share, one you can call all your own 】

a love (that) you can share は「あなたが共有できる愛」ということ。

共有できる相手、つまり「愛し合う相手、恋人となる人」の存在を示唆しているのですね。

one (that) you can call all your own の one は a love を指しています。

同じ名詞の繰り返しを避けるために用いられます。

call ~ ... は「~を ... と呼ぶ、名づける」。

one のあとに関係代名詞 that が省略されているため、少しわかりにくくなっています。

もとの形を復元してみると you can call one all your own となります。

「あなたは、それ(愛)を『完全に自分のもの』と呼べる」ということですね。

そんな愛(架空のものではない、他人のものでもない、君自身の愛)がきっと見つかるよ、と呼びかけられているのです。

文全体で「君は分かち合える愛を見つけるだろう、全く自分のものだと言える愛を」という感じでしょうか。

 

【 Just close your eyes she'll be there 】

これも命令文+and の形で、and が省略されているのだと思います。

「ただ目を閉じてごらん、彼女はそこにいるから」ということですね。

この she は「愛を分かち合える相手」のこと。

単純な未来時制が使われています。

仮定の話ではなく、本当に起こるであろう未来として表現されている、ということですね。

 

【 You'll never be alone 】

「君は決してひとりじゃないだろう」ですね。

ここも単純な未来時制が使われています。

独立した文だと考えることもできますし、前の文から続いていると考えることもできそうです。

 

【 And if you sing this melody you'll be pretending just like me 】

「そして、君がこのメロディを歌うなら、君は僕と全く同じように『ふりをする』ことになるんだよ」。

歌詞の最初の方に「難しいことじゃないんだよ」という部分がありましたが、「あ、そうなのね」ですねえ。

つまり、「この歌を歌えばいいんだよ!」ってこと。

 

【 The world is mine 】

「世界は僕のものなんだ」と言っていますが・・・。

「僕」は一体誰なんでしょう? 

「この歌を歌っている人物」ということになるのでしょうか。

ナット・キング・コールのことか? と思ってしまいますし、あの歌を聴いていると本当にそんな気がしてきます。

でも、もちろんそういうワケではなくて。

ちょっと深読みをすると、「一足先にこの世の真実(pretend すれば願いはかなう)を知って実践している人」ということになるでしょうか。

 

【 It can be yours, my friend 】

「それ(世界)は君のものになり得るんだよ、友よ」。

 

【 So why don't you pretend 】

「だから君も pretend してごらんよ」。

pretend にピッタリくる日本語は簡単に見つかりそうにありません。

この歌を和訳するとしたら、ものすごく悩むことになるだろうなあ、と思います。

 

以上、参考になりましたら幸いです。

著作権の関係上、ここでは解説以上に踏み込んだ翻訳・和訳をすることはできません。

皆様それぞれに試みていただければ、と思います。

/// Words by Lew Douglas, Cliff Parman, Frank Lavere///

 

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