成見和子のブログ

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ジャズ歌詞解説 ~ Love Is A Many-Splendored Thing ~

今日の歌詞解説は Love Is A Many-Splendored Thing 。

同名の映画(邦題は「慕情」)の主題歌です。

早速いきましょう。

 

【 Love is a many-splendored thing 】

「愛は many-splendored なものである」と言っています。

では、「 many-splendored 」は一体どういう意味なのでしょう?

手元の辞書には、このままの形では載っていませんでしたが、参考になりそうな例を見つけました。

many-sided という言葉です。

「多方面の、多方面にわたる、多芸の、多義の」といった意味だとのこと。

これ、 side (側面)という名詞から「側面を持つ」という動詞が派生して、その語尾に ed がくっついて「~という側面を有する」という形容詞になって、その前に many を添えて「多数の側面を有する」という意味になったのだろうなあ、と思います。

他には many-headed 「多頭の」、many-valued 「多価の、多値の」という例がありました。

これらと同様に考えると、many-splendored は「多数の splendor を有する」ということになりそうですね。

splendor は「輝き」。

文全体で「愛は、たくさんの輝きを持つものである」ということになりますね。

 

【 It's the April rose that only grows in the early spring 】

「それは、早春にだけ育つ4月のバラである」。

that は関係代名詞です。

 

【 Love is nature's way of giving a reason to be living, the golden crown that makes a man a king 】

まずは living までを見てみましょう。

reason は「理由、根拠、わけ、動機」。

give a reason to be living で「生きていることに理由を与える、生きていることを動機づける」といった意味になります。

way は「やり方、方法、流儀」。

nature は「自然」と訳されることが多いですが、「人間の自然の姿、(人・物の)本性・本質・性質」といった意味合いもあります。

nature's way of ~ing は「自然が~する方法、やりかた、流儀」。

living までの意味は「愛は、生きる理由を与える自然のやり方である」ということになりますね。

「愛は生きる動機となる。人間はそのようにできている。」といったニュアンスだと思います。

後半の the golden crown 以下は「(愛は)男を王にする金の王冠である」ですね。

that は関係代名詞です。

make ... ~ は「 ... を~にする」という意味です。

 

【 Once on a high and windy hill, in the morning mist two lovers kissed and the world stood still 】

長めの文ですが難しくはありません。

「ある時、高く風の強い丘の上で、朝霧の中、二人の恋人たちがキスをした。そして世界は静止した。」ですね。

 

【 Then your fingers touched my silent heart and taught it how to sing 】

teach ... ~ は「 ... に~を教える」。

it は my silent heart を指しています。

how to sing は「どうやって歌うかということ」、つまり「歌い方」です。

全体で「それから、あなたの指が私の寡黙な心に触れて歌い方を教えた」ということになります。

 

イマイチわからないのは、この文と前の文の時間的なつながりです。

「恋人同士がキスをして、世界が一瞬止まって、それから・・・」と考えるのが自然かなあ、と思うものの、少し違和感があるのです。

前の文の登場人物は「恋人たち」で、語り手は別に存在するような感じがします。

でも、この文に登場するのは「あなたと私」で、主観の世界です。

そのズレが気になってしまうのです。

じゃあ、前の文とこの文との間には、もっと大きな時間の隔たりがあって、当事者も異なるのでしょうか。

もしかしたら前の文は「過去の恋の話」なのかな。

だとすると「その愛は育たずに世界は止まってしまったけれど、時を経てあなたが現われて・・・」ってことになりそうです。

う~ん、それも違うような。

「恋人同士のキスは小さな花芽のようなもので、しばらくは動かずにいたけれど、時期が来て育って美しい花を咲かせた」ってことかなあ、と考えたりもします。

それだったら、視点が客観から主観に移動するのも理解できる気がします。

最初の方の「 It's the April rose that only grows in the early spring 」のイメージとも重なりますし。

う~ん・・・。

結局、私の英語力では結論が出ないです。

とりあえず現時点で考えたことを書き留めておく、ということでご容赦くださいませ。

 

【 Yes, true love's a many-splendored thing 】

「そう、本物の愛はたくさんの輝きを持つものである」ですね。

 

以上、参考になりましたら幸いです。

著作権の関係上、ここでは解説以上に踏み込んだ翻訳・和訳をすることはできません。

皆様それぞれに試みていただければ、と思います。

/// Words by Paul Francis Webster ///

 

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