成見和子のブログ

日々雑感、ジャズ歌詞、映画、読書。

【和訳あり】ジャズ歌詞解説 ~It's Easy To Remember~

今日の歌詞解説は It' s Easy To Remember です。

この曲の歌詞の著作権は消滅していて、自由に利用できる状態になっています。

なので、翻訳にもトライしてみました。

解説のあとに全文の和訳を載せてありますので参考になさってくださいね。

ではいきましょう。

 

【 your sweet expression 】

expression が具体的に何なのかなあ、と考えたのですが、「言葉」でいいのかな、と思います。

express は「表現する」、expression は「表現」が基本の意味のようですが、恋の場面での「表現」の筆頭はやっぱり言葉かな、と。

sweet expression で「甘い言葉」ということにしておきましょう。

 

【 the smile you gave me 】

smile の後に関係代名詞 that が省略されています。

「あなたが私にくれた笑顔」ですね。

gave は give の過去形です。

笑顔を向けてくれたのは過去のこと、なのですねえ。

 

【 the way you looked when we met 】

the way you looked は少々難しいですね。

way は「やり方、仕方」といった意味です。

辞書で見つけた理解しやすい例に、

I like the way she talks. (私は彼女の話し方が好きです。)

というのがありました。

look は「~の様子だ、~に見える」という意味ですから、the way you looked は「あなたが~の様子だった、あなたが~に見えた、そのやり方」ということ。

何のこっちゃ、ですけど、つまり「私から見たあなたの見え方、あなたの様子」ってことですね。

when we met は「私たちが出会った時」ですから、全体で「私たちが出会った時のあなたの様子」ということ。

要するに、魅力的で、心惹かれる、そんな何かがあったのでしょう。

 

【 It's easy to remember 】

中学だったか高校だったかで習ったことがありますよね。

it は「形式上の主語」で to rememmber が「実質上の主語」。

to + 動詞の原形、いわゆる「 to 不定詞」は、いろいろな用法があるけれど、ここでは「~すること」という意味。

なので、文の意味は「思い出すことは簡単だ」となります。

で、何を思い出すのかというと、あなたの甘い言葉や、私にくれた笑顔や・・・ということ。

冒頭の your sweet expression などは、remember の目的語だったのですね。

元の文の形がわかりにくくなるのは、歌詞ではよくあること。

ある意味当たり前です。

教科書みたいな正しい文を連ねた歌詞なんて面白くないですものね。

 

【 But so hard to forget 】

but のあとに it's が省略されています。

「忘れることはとても難しい」という意味になります。

forget の目的語は、もちろん remember の目的語と同じ。

あなたとのあれこれ、簡単に記憶が甦ってしまい忘れることなんてできない・・・失恋の歌ですねえ・・・。

 

【 I hear you whisper "I'll always love you" 】

I hear you whisper は「あなたがささやくのが聞こえる」です。

で、ささやきの内容が「僕はいつまでも君を愛するよ」です。

あ、「僕」と書きましたけど、主人公が女性と決まったわけではありません。

この曲は「ミシシッピ」という映画の主題歌として作られたもので、ビング・クロスビーが歌ったのだそうです。

ですから、もともとは男性の歌なのでしょうけど、女性歌手もたくさん歌っています。

私も、自分が歌うことを想定して「僕」としてみました。

 

【 I know it's over 】

know のあとに that が省略されています。

「it's over だということを私はわかっている」ということ。

it's over の it は具体的に何かを指し示しているわけではなく、文脈からわかる内容のことを言っています。

ここではもちろん、恋、愛、関係、といったことですよね。

文全体で「愛は終わったのだと、わかっているのよ。」という感じだと思います。

 

【 And yet it's easy to remember, but so hard to forget 】

and yet は「それにもかかわらず」という意味。

終わったのだとわかってる、でも思い出してしまうし、忘れられない・・・。

 

【 So I must dream to have your hand caress me 】

dream to ~ は「~を夢見る」。

ここでの have は「~に...させる、~に...してもらう」という意味。

文全体の意味は取りづらいですが、「あなたの手に愛撫してもらうことを夢見なければならない」ということです。

実際にあなたの手が私に触れることはもうない、でも思い出してしまうし忘れることはできない、だからそれを夢見るしかない、ってことですね・・・。

 

【 Fingers press me tight 】

前の文と同じ繰り返しを避けるために大幅な省略がされています。

復元すると I must dream to have your fingers press me tight となります。

「あなたの指に私をきつく抱きしめてもらうことを夢見なければならない」ということですね。

 

【 I'd rather dream than have that lonely feeling stealing through the night 】

難しい文です。

じっくりと考えてみましょう。

まずは stealing through the night を切り離して脇へ置きましょう。

(あとから考えますので。)

would rather ~ than ... は「...するくらいなら~したい」という慣用句です。

「あの寂しい気持ちを感じるくらいなら、夢を見ていたい」ということですね。

have は、つい「持つ」と訳したくなりますが、「寂しい気持ちを持つ、孤独な感覚を持つ」では日本語としてはヘンですよね。

どう訳すかは考えどころです。

次に、脇へ置いてあった部分を考えてみましょう。

steal は「気分・睡魔などがいつの間にか人を襲う」というニュアンスの単語のようです。

stealing through the night は「夜を通して忍び込む、襲ってくる」という感じだと思います。

直前の that lonely feeling を修飾しています。

文全体で「夜を通じて襲ってくるあの寂しい気持ちを味わうくらいなら、夢を見た方がいい」といった意味になります。

 

【 Each little moment is clear before me 】

「ひとつひとつの小さな瞬間が、私の前でくっきりとしています」という意味ですけど、このままじゃ詞になりませんよね。

どう訳しましょうか。

 

【 And though it brings me regret, it's easy to remember, but so hard to forget 】

最初の it は、前の文の each little moment を指すのだろうと思います。

regret は「後悔」と訳されることが多いですが、「失われたものへの哀惜の気持ち」という感じじゃないかな、と思います。

目の前に甦るそれぞれの小さな瞬間が私に悲しみを運んでくるけれど、でも思い出さずにはいられないし、忘れることはできない・・・

う~ん、切ないですねえ・・・

 

さて、以上を踏まえて和訳ですが・・・

難しいなあ・・・うまくいきますかどうか。

 

あなたの甘い言葉

あなたが向けてくれた笑顔

出会った時のあなたの姿

思い出すのは簡単よ

でも忘れることはとても難しいわ

あなたの囁きが聞こえる

いつまでも君を愛するよって

わかってるの

終わってしまったのよね

でも思い出してしまうの

忘れることはできないの

だから夢見るしかないの

私に触れるあなたの手を

私を抱きしめるあなたの指を

一晩中寂しさに襲われるくらいなら 

夢を見ている方がいいのよ

全ての瞬間をくっきりと感じるわ

それは悲しみをもたらすけど

思い出してしまうのよ

忘れることはできないの

 

いかがでしょう。

参考になりましたら幸いです。

/// Words by Lorenz Hart ///

 

★こちらの記事もどうぞ