今日の歌詞解説は How High The Moon(ハウ・ハイ・ザ・ムーン)。
ヴァースから解説します。
早速いきましょう。
(Verse)
【 Until I fell in love my life was very easy 】
「私が恋に落ちるまでは、私の人生はとても簡単だった」ですが・・・。
easy を「簡単な」と理解してしまうと何とも変な感じですねえ。
辞書には「容易な、平易な、やさしい、たやすい、気楽な、くつろいだ、のんきな・・・」などと並んでいます。
「気楽な」あたりが近いかもしれませんね。
【 The moon just made it moonlight 】
「月はただ月光を作っていた」。
昔習った「第4文型」ってやつですね。
「S+V+O+O」という形です。
辞書に例文として Mother made her a new dress. (母が彼女に新しいドレスを作ってやった)というのがありました。
it は the moon のことだと思います。
「月が、月に、月光を作った」ということになりますね。
何でこんな回りくどい表現をしてるのかというと、「歌詞だから、詩だから」ってことでしょう(笑)
次の文と形式を揃えて調子を整える、という目的もあったのかもしれませんね。
just という単語がとても効いていると思います。
「深く考えずにただ単純に、お気楽に」という感じでしょうか。
最初の文の easy に通じるニュアンスがあるように感じます。
【 The breeze just made it breezy 】
前の文と同じ「S+V+O+O」という文型です。
ただし、made の意味が少し異なっています。
前の文では「...のために~を作る」という単純な意味でしたが、この文では「...を~にする」という意味です。
breeze が breeze を breezy にする、ということ。
breeze は「そよ風」、breezy は「そよ風の吹く、さわやかな」。
「そよ風はただ、そよ風をさわやかにしていた」ということになります。
世界は単純明快、月は綺麗な月明かりを放つし、そよ風はさわやかに吹き抜けるし、そんな当たり前な毎日が・・・恋に落ちると変わってしまうのですねえ・・・おっと、先取りしてしまいました。
次へ行きましょう。
【 And then I fell in love 】
「そして私は恋に落ちた」。
【 And things that once were clear now I scarcely see or hear 】
目的語が文頭に来ているため、わかりにくい文になっています。
元の形に戻すと
And now I scarcely see or hear things that once were clear
となります。
things that once were clear が、動詞 see と hear の目的語なのです。
that は関係代名詞で、that once were clear が things を修飾しています。
全体で「そして、以前ははっきりしていたものが、今はほとんど見たり聞いたりできなくなってしまった」という意味になります。
ここまでがヴァースです。
ではコーラスへいきましょう。
(Chorus)
【 Somewhere there's music 】
「どこかに音楽がある」。
【 How faint the tune! 】
「その曲は何て微弱なのだろう」。
動詞が見当たりませんが、省略されているのだと思います。
単純に is が省略されているのだと考えておけばよいでしょう。
faint は「かすかな、ぼんやりした、弱い、微弱な」。
【 Somewhere there's heaven 】
「どこかに天国がある」。
【 How high the moon! 】
「月は何と高いのだろう」。
ここも動詞が省略されています。
【 There's no moon above when love is far away too till it comes true that you love me as I love you 】
長い文ですねえ。
全体で、「Bの状態になるまではAの状態である」という意味です。
A が「there's no moon above when love is far away too」の部分。
B が「it comes true that you love me as I love you」の部分。
まずはAを見ていきましょう。
「愛が遠くにある時には、空に月がない」ですね。
too の位置が何故ここなのか、よくわからないです。
愛の遠近と月の遠近が連動してるイメージはわかるのですけれど。
「愛が遠くにある時には、空には月もない」ということなのだと思うのですが。
次にBの部分です。
直前の till を含めて「私があなたを愛しているのと同じくあなたが私を愛する、ということが本当になるまでは」という意味です。
It ... that ~ という形で、~は...である、という意味になります。
it が「形式主語」。
that 以下が「実質上の主語」です。
主人公には愛する人がいて、でも今は片思いで、月は高く遠く、見えないぐらい。
でも、もしもその人もまた自分を愛してくれるようになったら、月もまた輝くようになるでしょう、ってことですね。
あ、また先取りしてしまいました。
次へ行きましょう。
【 Somewhere there's music 】
「どこかに音楽がある」。
【 It's where you are 】
「それはあなたのいる場所だ」。
【 Somewhere there's heaven 】
「どこかに天国がある」。
【 How near and far! 】
「何て近くて遠いのだろう!」
主語も動詞も省略されてしまっていますが、意味は十分に伝わりますね。
【 The darkest night shine if you would come to me soon 】
「もしもすぐにあなたが私の元へ来てくれたら、最も暗い夜も輝くだろう」。
【 Until you will, how still my heart, how high the moon! 】
「それまでは、私の心は何て動かず、月は何て高いんだろう!」ですね。
will の後には動詞などが省略されています。
内容は、前の文を見ればわかりますね。
still は「動きのない、静止した、静かな、黙った、平和な」といった意味がありますが、ここでは良い意味ではなくて、消極的な意味で使われていますよね。
「止まったままの状態、ときめきのない状態」という感じでしょうか。
うっかり「平穏な」などと訳してしまうと誤解を招いてしまいそうです。
どんな日本語をあてればよいのか、本当に難しいです。
以上、参考になりましたら幸いです。
著作権の関係上、ここでは解説以上に踏み込んだ翻訳・和訳をすることはできません。
皆様それぞれに試みていただければ、と思います。
/// Words by Nancy Hamilton///
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