今日の歌詞解説は Cheek To Cheek (チーク・トゥ・チーク)です。
早速いきましょう。
【 Heaven, I'm in heaven 】
「天国、僕は天国にいるんだ」ですね。
この最初の一文とメロディーの雰囲気で、すぐにハッピーな歌だとわかります。
【 And my heart beats so that I can hardly speak 】
so that は、前の文を受けて、「それで、その結果」という意味を表します。
hardly は否定を表す副詞。
それほど強い否定ではなく、ほとんど~ない、というニュアンスです。
全体で「そして僕のハートはドキドキして、喋ることもできないぐらいなんだ。」という意味になります。
【 And I seem to find the happiness I seek 】
「そして僕は探していた幸せを見つけたみたいなんだ」ですね。
【 When we're out together dancing cheek to cheek 】
out は「外に、外部に、外出して」。
together は「一緒に」。
out together は「一緒に外にいる、一緒にお出かけ」ってこと、つまりはデートですね。
で、どんなデートかというと dancing cheek to cheek 、頬を寄せ合ってダンス、なのですね。
全体で「僕たちが一緒に出かけて頬を寄せてダンスしている時には」です。
実は、このwhen 以下は文ではありません。
「~する時には、~したら」という、時を表す副詞節です。
この副詞節がどこへかかっているのかというと、一行上に示した And I seem to ~ 、それからその上の And my heart beats ~ 、それから冒頭の Heaven, ~ にも。
つまり、最初からここまで全てが、ひとかたまりなのですね。
全体を一文として表示すると長すぎるため、区切って表記して解読してみた次第です。
【 Heaven, I'm in heaven 】
【 And the cares that hung around me through the week seem to vanish like a gambler's lucky streak 】
【 When we're out together dancing cheek to cheek 】
これもひとかたまりの、長い長い一文です。
3分割して表示してあります。
第1部分と第3部分は、もう解読の必要はありませんね。
間の第2部分を見てみましょう。
この部分の主部は the cares that hung around me through the week 。
述部は seem to vanish like a gambler's lucky streak 。
どちらも長いですねえ。
主部のうち、純粋な主語は the cares です。
care は「心配、気がかり、懸念」。
複数 care になると「心配事、気苦労、悩みの種」です。
that は関係代名詞で、that 以下が the care の説明になっています。
hung は動詞 hang の過去形です。
hang around は「~にまつわりつく」。
主部全体の意味は「一週間ずっと僕にまつわりついていた心配事」ですね。
その心配事がどうなったかというと、seem to vanish、「消えてしまったみたいだ」、like a gambler's lucky streak、「ギャンブラーの幸運期みたいに」。
ここでの streak は「期間、短期間、連続」といった意味だと思います。
賭け事って、波みたなものがありますよね。
その波の「いい方」のことを言ってるのだろうな、と思います。
もちろん例えとして持ち出しているのですが。
「君といると心配事も消えてしまうみたいだ、まるでツイてるギャンブラーみたいだよ」という感じでしょうか。
ここで streak という単語が用いられているのは、意味上の必要というよりは、韻を踏むためです。
この streek は speak、seek、week、そして cheek と韻を踏んでいるのです。
ここでは意味を正確に取るために歌詞を文単位で表記しているため、ちょっとわかりにくくなっていますが、歌ってみればわかります。
【 Oh, I love to climb a mountain and to reach the highest peak 】
「僕は山に登るのが大好き、一番高い頂上に到達するのが大好きだ」と言っています。
特に難しいところはないですね。
冒頭の Oh はリズムを取るためのものだと思います。
これも歌ってみればわかります。
【 But it doesn't thrill me half as much as dancing cheek to cheek 】
「でもそれは、頬を寄せてダンスすることの半分も僕をワクワクさせないんだ」という意味です。
thrill という単語はそのまま「スリルを感じさせる」と理解するのもよさそうです。
as much as ~ing は「~するのと同じくらい」。
half がくっついていますから、同じくらいどころか半分もスリルを感じさせない、と言っているのですね。
【 Oh, I love to go out fishing in a river or a creek 】
「僕は川や小川に釣りに行くのが好きだ」という意味ですが、日本語にすると面白さが伝わらないです。
river と creek はどう違うんだ?
「川」と「小川」の違いに意味はあるのか?
・・・そんなことは問題ではないのです。
「 creek 」という単語を使いたかった、ということ。
peak、creek、cheek が韻を踏んでリズムを生み出している、ということなのです。
【 But I don't enjoy it half as much as dancing cheek to cheek 】
「でもそれは、頬を寄せてダンスすることの半分も楽しくはないんだ」ですね。
【 Dance with me 】
「僕と踊って。」
命令文です。
【 I want my arms about you 】
「僕は、僕の腕に、君のまわりにあることを望みます。」???
・・・要するに、彼女の体に腕をまわしたい、ってこと。
【 The charms about you will carry me through to heaven 】
前の文の about は「場所」を表す前置詞でしたが、この文の about は「関連」を表します。
「君に関する魅力は、僕を天国へと運んでいく」ですね。
要するに「君の魅力」なのですが。
言葉だけを見ると少々無理のある表現のようにも思えます。
でも、about you を繰り返して使うことでリズムを生み出しているのですね。
歌ってみればわかりますが、ふたつの about you は同じリズム・同じ音程のメロディーに当てられています。
で、あとの about you は半音下がってます。
うまくはめてあるなあ、と思います。
【 I'm in heaven 】
【 And my heart beats so that I can hardly speak 】
【 And I seem to find the happiness I seek 】
【 When we're out together dancing cheek to cheek 】
冒頭の長い長い文と全く同じ・・・ではありませんね。
最初に Heaven がありません。
どこへ行ったのかというと、前の文の最後にくっついてるのですね。
carry me through to heaven の to heaven という形で。
ただし、歌った場合には、同じ音に同じ語句がはまるようになってます。
意味上の位置づけは異なるのですが、ちょっと聴いただけでは全く同一の歌詞の繰り返しなのです。
つくづく凝った作りだなあ、と思います。
以上、参考になりましたら幸いです。
著作権の関係上、ここでは解説以上に踏み込んだ翻訳・和訳をすることはできません。
皆様それぞれに試みていただければ、と思います。
/// Words by Irving Berlin///
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