成見和子のブログ

日々雑感、ジャズ歌詞、映画、読書。「やさしい法律用語解説」は現在準備中。

ジャズ歌詞解説 ~Beautiful love~

今日の歌詞解説は Beautiful Love (ビューティフル・ラブ)です。

早速いきましょう。

 

【 Beautiful love, you're all a mystery! 】

冒頭からいきなり難問にぶつかります。

beautiful love」は具体的な誰かのことを指しているのか。

それとも抽象的な「愛」のことなのか。

「どちらも」という答えもありそうです。

私は、「特定の誰か」をイメージして理解するのがよいかなあ、と考えています。

その方が歌詞全体の意味がスッキリと通る、と思うのです。

その上で、抽象的な「美しき愛」と考えることも可能、という「深読み」をしてみるのもいいのかな、と。

そう考えると、この文は「美しき愛する人よ、あなたは謎だらけだ」ということになりますね。

mystery は「謎」という抽象名詞ですが、冠詞 a がくっついて普通名詞化しています。

「謎めいた人」ということですね。

形容詞は普通は冠詞と名詞の間に置かれますが、 all は冠詞の前に置かれます。

 

【 Beautiful love, what have you done to me? 】

「美しき人よ、あなたは僕に何をしたのですか?」という感じでしょうか。

love は「愛人、恋人」という意味ですが、ここでは beaytiful love を「美しい恋人」と理解してしまうのは違うかなあ、という気がします。

主人公は満たされた状態ではなくて苦悩の中にいる、ということが歌詞全体から読み取れるからです。

主人公と相手の女性が既に「恋人」と呼べる関係になっているのだとしても、まだ足りないものがある。

求めても得られないかもしれない何かがある。

そんな緊張感を伝えるためには「恋人」という日本語はふさわしくないかなあ、と思うのです。

じゃあどう表現すれば? というと、難しくて答えは出ないのですが。

what have you done to me? は疑問文ですが、答えを求めているものではないと思います。

「あなたが何をしたのかわからないけれど、その結果、僕はこんなにも苦しい状況にあるんだよ」と言いたいのでしょう。

「なにしてくれとんねん!」と、そのまま日本語(関西の)にしても通じそうです(笑)

 

【 I was contented till you came along thrilling my soul with your song 】

I was contented till ~ は「私は~までは満足していた(今は満たされていない)」。

you からあとには「分詞構文」という形が使われています。

「あなたが現れて、僕の心をあなたの歌で震わせた」という意味になります。

come along は「やって来る、現れる」。

soul は「魂、精神、心」。

thrill は「ぞくぞくさせる、興奮させる、震わせる」。

動詞 thrill が現在分詞 thrilling となって、thrilling 以下が付帯状況を表す働きをしているのです。

主人公は平穏な生活をしていて満足していたのだけれど、「運命の女性」みたいなのが現れて、それ以来、心はかき乱され満たされず・・・なのですね。

 

【 Beautiful love, I've roamed your paradise 】

「美しき人よ、僕はあなたの楽園をさまよっている」。

roam は「歩きまわる、徘徊する、さまよう」。

現在完了形になっていますから、ずっと歩きまわっていて、今もさまよっている、ということですね。

 

【 searching for love, my dream to realize 】

長くなるので分けて書きましたが、前の文の続きです。

(最初が大文字になっていないのは、ここが文頭ではないからです。)

これも分詞構文で、「愛を、僕の実現させたい夢を探しながら」という状況説明になっています。

付帯状況を表す分詞構文には「~しながら」と理解するのがよい場合と、「~して、そして~」と理解する方がよい場合があります。

状況が同時に起こるのか、それとも続いて起こるのか、という違いですね。

my dream to realize love を別の言葉で言い換えているのだと思います。

to realize は不定詞で、dream を修飾しています。

 

【 reaching for heaven depending on you 】

実はこれも続きです。

I've roamed your ~ の文には分詞構文が用いられていて、現在分詞を用いて表される付帯状況が searching , reaching ~ の二つある、ということです。

reaching for heaven は「天国へ届きそうである、到達しつつある」。

紛らわしいのは depending で、これは depend の現在分詞ですが、分詞構文を作っているのではありません。

形容詞的に使われているのです。

depending on you が直前の heaven を修飾しているのです。

depend は「~いかんによる、~しだいである、~に左右される」。

heaven depending on you で「あなた次第である天国」ということですね。

主人公は相手の女性の魅力に取り憑かれて、その魅惑のパラダイスを愛を求めてさまよい、至福の場所へと到達できそうなのだけど、その天国は相手次第の場所で・・・ということなのですね。

 

【 Beautiful love, will my dreams come true? 】

「美しき人よ、僕の夢は実現するのだろうか?」です。

 

以上、参考になりましたら幸いです。

著作権の関係上、ここでは解説以上に踏み込んだ翻訳・和訳をすることはできません。

皆様それぞれに試みていただければ、と思います。

///Words by Haven Gillespie///

 

★こちらの記事もどうぞ