今日の歌詞解説は Anything Goes (エニシング・ゴーズ)。
ヴァースから読んでいきます。
早速いきましょう。
(ヴァース)
【 Times have changed 】
time は複数形 times になると、「時代、年代」という意味になります。
「時代は変わった」ということですね。
【 And we've often rewound the clock since the puritans got a shock when they landed on Plymouth Rock 】
「清教徒たちがプリマスロックの上に降り立った時にショックを受けて以来、私たちはしばしば時計を巻き戻してきた」と言っていますが、わかったようなわからないような・・・。
puritan は「ピューリタン、清教徒」。
Plymouth Rock はマサチューセッツ州プリマスにある岩のこと。
メイフラワー号が1620年に清教徒たちを乗せてアメリカに到着した地点にあって、上陸の際に最初に踏んだ岩なのだそうです。
歴史的なことに興味のある方には、各自調べていただくとして・・・
つまり、プリマスに上陸した人々はとても大きな衝撃を受けた、ということですね。
で、それ以来、しばしば「時計を巻き戻す」というのです。
一体どういう意味? ですよね。
私は「リセットする、ゼロに戻る」なのではないかなあ、と思います。
世の中にいろんな変化が起こってくると、それまでの価値観や生活スタイルが否定されたりひっくり返ったりしますよね。
これまでの基準では前に進めなくなる。
だから時計を巻き戻してゼロからスタートするしかないよね、と。
もちろんその際には、新しい基準を受け入れることになります。
でも、その基準もまた時代の変化に合わなくなり、再度のリセットが必要になる。
・・・そんなことを繰り返して来た、と言っているのだと思います。
【 If today any shock they should try to stem, 'stead of landing on Plymouth Rock Plymouth Rock would land on them 】
前半部分は語順が入れ替わっています。
元の形に戻すと If they should try to stem any shock today となります。
they と them は、プリマスロックに降り立った清教徒たちのことだと思います。
stem は「止める、せき止める、食い止める」。
「もしも今日、彼らがショックを食い止めようとするなら、プリマスロックに降り立つかわりに、プリマスロックが彼らの上に降り立つだろう」ということになりますが、一体何が言いたいんでしょう?
「プリマスロックが彼らの上に降り立つ」は「あり得ないこと」です。
もしも今日起きている時代の変化によるショックを避けようとしたら、到底あり得ないことが起こるだろう、というのです。
つまり、ショックを避けることなんてできない、不可能なんだよ、と言っているのですね。
なんとまあ回りくどい解りにくい表現なんだろう、と思います。
これを「洒落た表現、面白い表現」だとはとても思えず・・・
でも、それは私の英語力不足なのかもしれないです。
もしかしたら、英語を母語とする方々にとっては「別に難しくないよ? オモシロイよ?」なのかもしれません。
(コーラス)
【 In olden days a glimpse of stocking was looked on as something shocking 】
olden は「昔の、年老いた」。
古い言葉のようです。
glimpse は「ちらっと見えること」。
look on ... as ~ は「... を~とみなす、... を~と考える」。
全体で「昔は、ストッキングがちらりと見えるのはショッキングなことだと考えられていた」という意味になります。
【 Now heaven knows, anything goes 】
「今では何とまあ! 何だってありだ」という感じでしょうか。
heaven knows は驚きや恐れを表します。
「おや、あーっ!、え?」みたいな感じでしょうか。
go という動詞はとても広く使われます。
どんな日本語がぴったりくるかは場合による、ということになりますね。
ここでは「通用する」がいちばんピッタリかなあ、と思います。
辞書の例文に Anything goes here というのがありました。
訳は「ここでは何をしてもよい(何でもありだ)」となってます。
まさにこれですね。
何でも通用する、ってこと。
here を today にすれば、この歌そのものです。
【 Good authors too who once knew better words now only use four-letter words writing prose 】
「以前はもっとマシな言葉を知っていた立派な作家たちも、今では文を書く時に四文字語しか使わない」ですね。
who は関係代名詞で、who once knew better words が good authors を修飾しています。
もしくは、「補足・説明している」と考えることもできます。
そう考えると、「立派な作家たちは、以前はもっとマシな言葉を知っていたのに、今では・・・」といったニュアンスになりますね。
four-letter word は、4文字からなる卑猥な言葉のこと。
f○○k, s○○t などのことでございます。
prose は「散文、口語、日常語」。
writing prose は「分詞構文」の形で、ここでは「時」を表しています。
【 Anything goes 】
「何だってありだ」ですね。
【 The world has gone mad today 】
「 today 」は「きょう」ではなくて「こんにち」だと思います。
「今では世界は狂ってしまった」という意味になりますね。
【 And good's bad today 】
「そして今日(こんにち)、善は悪だ」ですね。
歌詞を翻訳する場合には、こういう単純な文が難しいだろうと思います。
「今日では善は悪だ」?
「今や善は悪になってしまった」?
どう日本語を並べてみても、何だか落ち着きがよくないです。
難しいですねえ・・・。
【 And black's white today 】
「そして今日(こんにち)、黒は白だ」ですね。
【 And day's night today when most guys today that women prize today are just silly gigolos 】
when は関係副詞です。
when 以下全体が直前の today を修飾している、または補足・説明しています。
ここで出てくる疑問は、when 以下は直前の today だけに係るのか? ということ。
この文の前の3行全ての today に係っている、と考えることも可能だと思います。
だとすると、The world has gone mad today, and good's bad today, and... just silly gigolos の全部で一つの文だということですね。
そう考えるのもアリ、そう考える方が自然かな? という気もします。
that は関係代名詞です。
that women prize today が修飾しているのは直前の today ではなくて guys。
guys today は「現代風の男、イマドキの男」。
ここでの today は形容詞です。
(あちこちにいっぱい出てくる他の today は「今日は、今日では」という意味の副詞です。)
ややこしいですねえ。
gigolo は「ジゴロ、ヒモ、女たらし」です。
全体で「そして今日では昼は夜だ、今日女たちが賞賛する今時の男たちはみんなバカなジゴロたちだ」ということになります。
【 So though I'm not a great romancer I know that you're bound to answer when I propose, "Anything goes" 】
romancer は「ロマンス作家、恋愛小説家」。
be bound to ~ は「~する義務がある、確かに~するはず」。
「だから、僕は偉大なロマンス作家じゃないけど、僕がプロポーズしたら君は『何でもありよ』と答えるに決まってる、と分かっている」ですね。
なるほど、そういうオチでしたか(笑)
何もかもがひっくり返って「何でもあり」な今日この時代、僕のプロポースを君がOKすることだってアリだよね、というワケです。
以上、参考になりましたら幸いです。
著作権の関係上、ここでは解説以上に踏み込んだ翻訳・和訳をすることはできません。
皆様それぞれに試みていただければ、と思います。
/// Words by Cole Porter///
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