今日の歌詞解説は Angel Eyes (エンジェル・アイズ)です。
早速いきましょう。
【 Try to think that love's not around 】
主語 I が省略されているのだと思います。
「愛はここにはないのだ、と考えようとした」ですね。
この around 前置詞ではなく副詞。
「近くに、そばに、このあたりに」といった意味です。
【 Still it's uncomfortably near 】
「それでも、それは『 uncomfortably に』近くにある」と言っていますが、uncomfortably という単語が難しいですね。
愛はここにはないのだ、と自分に言い聞かせようとする主人公。
でも、どうしても思い切れず、すぐそこにある気がする。
そして、その感覚は uncomfortable な感じだというのです。
uncomfortable は「ここちよくない、不安な、不愉快な、不快な」。
【 My old heart ain't gainin' no ground because my angel eyes ain't here 】
「俺の心のヤツは前へ進めない、俺のエンジェル・アイズがここにいないから」という感じでしょうか。
ここの old は「古くからの、昔なじみの、親しい」といった意味。
~ちゃん、~君、というニュアンスで使われることもあるようです。
ain't は口語で is not の短縮形です。
くだけた言い方なので、主人公のことも「僕」というよりは「俺」と表現したくなりますね。
gain ground は「地面を獲得する」ですが、場面によって「進撃して陣地を得る、前進する、しっかりした足がかりを得る、確実な地歩を得る、普及する」といった意味になります。
is not (ain't)の「not」と no ground の「no」、否定の言葉が二つ重なっていますが、はて?
これは否定の否定、いわゆる二重否定ではなくて、単なる否定だと思います。
くだけた言い方や俗語では、こういうこともあるようです。
この歌の主人公の言葉使いはあまり紳士的ではない、ってことですね。
もともとの主人公のキャラクターなのかもしれませんが、もしかしたらお酒が入ってるからなのかも。
【 Angel eyes that old devil sent, they glow unbearably bright 】
「悪魔のヤツが送り込んできた天使の瞳、それが耐えられないほど明るく輝くんだ」。
angel eyes は「天使のような瞳」ですが、それがそのまま相手の女性のあだ名、愛称のように用いられています。
それにしても、悪魔の使いのような天使の瞳・・・一体どんな女性なのでしょう。
男の人なら何かしらイメージ出来るのかもしれませんが、私にはちょっとワカラナイ・・・です(笑)
【 Need I say that my love's misspent, misspent with angel eyes tonight 】
わかりにくい文ですねえ。
need は助動詞で、この文は疑問文である、と考えるとスッキリすると思います。
手元の文法書に " Need I say that? " という例文がありました。
「それを言う必要がありますか?」という意味ですね。
単純な疑問を表す場合もあるでしょうが、「当然言わなくてもいいよね」という意味で使われる場合もあるようです。
ここは後者、つまり「~だと言わなくたってわかるよね、言うまでもないよね」というニュアンスなのだと思います。
さらに進んで、"need I say" で「言うまでもなく」という独立した挿入句のようになっている、と考えてしまってもよいのかもしれません。
全体で「俺の愛は無駄になったんだ、今夜エンジェル・アイズに浪費してしまったんだ、言うまでもないことだよな、わかってるんだ」といった感じでしょうか。
何だかヘンな日本語になってしまうのは、misspend という単語のニュアンスがうまく日本語にできないからでしょうねえ。
手元の辞書には「~の使い方を誤る、浪費する、無駄にする」とありますし、確かにそのとおりの意味だとは思うのですが。
【 So drink up, all you people 】
「だから飲み干してくれ、みんな」。
drink up は「飲み干す」。
【 Order anything you see 】
「目につくもの何でもオーダーしてくれ」。
【 Have fun, you happy people 】
「楽しんでくれ、ハッピーなみんな」。
ちょっと皮肉なセリフですよね。
主人公は全然ハッピーじゃないのですから。
【 The drink and the laugh's on me 】
この文は一見???ですよね。
二つの意味、二つの文がひとつにまとめられている、と考えるとよいのです。
① The drink is on me
② The laugh is on me
①は「飲み物は俺のおごりだ」です。
前置詞 on が「支え・依存・負担」の意味で用いられているのですが、そういう慣用句だと考えてしまった方がいいかもしれませんね。
②は「笑いは俺の上にある」、つまり「笑いものにされるのは俺だ」、「笑ってやってくれ」という感じでしょう。
この使い方では、前置詞 on が「関係・対象」を示している、「~に関して」という意味だ、と説明されるようです。
でも、「笑いは俺の上に」と言ってしまった方が逆にわかりやすいような気もします。
【 Pardon me, but I've gotta run 】
「失礼、俺はちょっと行かなくちゃならないんだ」ですね。
run はここでは「ひとっ走りする、ちょっと行ってくる」といった意味でしょう。
【 The fact's uncommonly clear 】
「事実はものすごく明白なんだ」。
uncommonly という副詞がとても効果的です。
「普通じゃない感じで、あり得ないくらいに」というニュアンスでしょうか。
この歌には他にも特徴的な副詞が使われていますね。
uncomfortably と unbearably です。
どれも、形容詞に un と ly をくっつけて、力ずくで副詞にしたような形です。
私は全部まとめて「Angel Eyes におけるわざとらしい副詞三兄弟」と呼んでいます。
主人公の屈折した心情を表すのにとても効果的だなあ、と思っているのです。
【 Gotta find who's now number one and why my angel eyes ain't here 】
主語 I が省略されています。
「俺は~を見つけなくちゃならない」。
「~」の内容が二つあります。
who's now number one は「今誰がナンバーワンなのか」。
主人公はナンバーワンじゃなくなってしまった訳です。
で、今ナンバーワンになってる男はどんなヤツなんだ? というワケ。
why my angel eyes ain't here は「なぜ俺のエンジェル・アイズはここにいないのか」。
要するに主人公はフラれたことに納得がいってないのですねえ・・・。
切ないです・・・いや、ちょっと待てよ。
彼女の今のオトコを確認しに行って、何事もなく済むんだろうか・・・
もしかして刃傷沙汰とか・・・あ、深読みが過ぎました。。。
以上、参考になりましたら幸いです。
著作権の関係上、ここでは解説以上に踏み込んだ翻訳・和訳をすることはできません。
皆様それぞれに試みていただければ、と思います。
/// Words by Matt Dennis///
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