1993年の映画「秘密の花園」観ました。
断片的ですが感想などをメモしておきます。
冒頭、メアリーが服を着せてもらっているシーンが衝撃的。
まるでお人形さんだ。
怒りを感じることはあっても泣いたことがない、という。
泣き方を知らない、という。
この子がどんなふうに変わっていくか。
それがこの映画の見どころの一つだと思う。
メアリーの怒りを初めて受け止めてくれたのがマーサ。
両親は怒りをぶつけようとしても取り合ってくれることはなかった。
そして、そのまま死んでしまったのだ。(何という無責任!)
ちなみに、マーサに対して怒った時もメアリーは泣いていない。
メアリーに初めてかすかな笑顔が出るのは縄跳びのシーン。
マーサとディコンの母親が登場するのは映画ではここだけ。
「縄跳びをプレゼントしてくれた人」という、話の中だけでの登場。
原作ではとても重要な人物なので、それ以上出てこないのは残念。
でも、善良な姉弟のよき母親の気配が一瞬でも感じられて嬉しい。
他者との関わりを通じて変化していくメアリー。
「他者」は人間だけでない。
コマドリやその他の動物たち。
そして植物たち。
花園の中で、枯れ草の陰に新しい芽を見つけるシーン、大好き!
草を取り除く作業で暑くなって、帽子を脱いでコートの前を開けるところもイイ!
身体を動かしてお腹がすくようになって、ご飯をたっぷり食べるメアリー。
ようやく「人間らしさ」が出てきたなぁ。
英国へ来る船の中でいじめられていたことをディコンに話すメアリー。
そんなことを話せた相手は初めてだろう。
何も言わずに受け止めるディコン。
信頼が確かなものになった瞬間かもしれない。
メアリーとコリンはどちらも「ヘンな子供」だ。
大人たちがきちんと育てていないのだからアタリマエだけれど。
それでも同い年の子供同士の交流の力はすごい。
この二人の「喧嘩から始まってなぜか良い方向へいく」という関係性がいい。
メアリーとディコンの助けを得ながら健康を取り戻していくコリン。
メアリーにも笑顔があふれる。
そして「魔法」が効いてコリンの父親が戻ってくる。
でも、ここでハッピーエンドにはならない。
泣いて走り去ってしまうメアリー。
コリンは父親の愛を取り戻した。
でも自分に親はいない・・・。
愛をくれないまま死んでしまった・・・。
おじは再び花園を閉じてしまうかもしれない。
秘密の花園は自分から奪われてしまうかもしれない・・・。
ディコンとコリンと3人で楽しく過ごした日々は終わってしまうかも・・・。
けれどおじは、涙に濡れたメアリーの目をまっすぐ見て「心配いらない」と言った。
メアリーに対する感謝の言葉を口にした。
メアリーの涙は喜びの涙に変わったことだろう。
そう、泣き方を知らなかったメアリーが涙を取り戻す。
そうしてようやくこの物語が終わることになるのです。
実はこの終わり方はこの映画だけのもの。
原作ではこのシーンはありません。
原作の愛読者の中には違和感を感じる方もいらっしゃるかも、です。
実は私も最初に見た時は「なんか違うような・・・」と思ったのです。
それが、2回目・3回目と見るにつれて「いいかも」と感じるようになりました。
原作を忠実になぞるだけが映画じゃない。
映画には映画の表現があるよね、という感じです。
よい作品だと思います。
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