成見和子のブログ

日々雑感、ジャズ歌詞、映画、読書。

【和訳あり】ジャズ歌詞解説 ~Isn't It Romantic~

今日の歌詞解説は Isn't It Romantic (ロマンティックじゃない?)です。

この曲の歌詞の著作権は消滅していて、自由に利用ができる状態になっています。

なので、翻訳にもトライしてみました。

解説のあとに全文の和訳を載せてありますので参考になさってくださいね。

ではいきましょう。

 

【 Isn't it romantic? 】

「ロマンティックじゃない?」

否定の疑問文ですが、肯定の返事を想定しています。

誰に問いかけているのかというと、たぶん自分自身に対して。

「ロマンティックよね」と自分で自分に言ってるのですね。

it は、次に出てくる music in the night のことだとも考えられますし、それを含めた「この状況全体」を示しているとも考えられます。

 

【 Music in the night 】

「夜の音楽」。

文にはなっておらず、形容詞句で修飾された名詞が置かれているだけです。

前の文の it を具体的に表している、もしくは例示しているのだ、と考えると理解しやすいと思います。

主人公のいる場所で実際に音楽が鳴っているのかどうかはわからないです。

でも、実際に鳴っていなくても音楽を感じることって、ありますよね。

in という前置詞の基本の意味は「~の中に」です。

時を表す語句と結びつくと「~のうちに、~の間に」という意味になることが多いです。

in the morning とか in the evening など。

ここもそれだと考えるのが自然ですが、少し違うかな?という気もします。

night という「状況・環境」の中、と考える方がピッタリくるかな、と思います。

もしくは「場所・空間」と捉えるか。

「夜という空間に漂う音楽」みたいな感じでしょうか。

もっとも、これは日本語で考えるからヤヤコシくなるのですよね。

英語を母語とする方々にとっては、 in は in である、というだけのことなのでしょう。

 

【 A dream that can be heard 】

「聞くことのできる夢」。

これは music in the night を言い換えているのかな、と思います。

that は関係代名詞です。

夢が音楽の形になって現われている、とでもいうのでしょうか。

うまく説明できませんが、わかるなあ~、という感じです。

 

【 Isn't it romantic? 】

「ロマンティックじゃない?」

 

【 Moving shadows write the oldest magic word 】

「動く影たちが最古の呪文を書く」。

shadow は「影」ですが、一体何の影なのでしょう?

主人公を含めた人の影なのか?

風に揺れる樹木などの影なのか?

たぶん、その場の全てのものの影なのでしょう。

oldest magic word が具体的に何なのかはわかりませんが、それぞれに想像すればOK、ってところでしょう。

ちちんぷいぷい、とか。・・・違うか(笑)

私はこの部分を読むと、ディズニー映画のワンシーンみたいなのが頭に浮かびます。

月あかりの下で風にざわめく木から妖精が飛び出してきて杖を一振り、そこには恋の呪文が描かれて、みたいな。

ちょっと安易な想像かもしれませんが、この歌にはそんな雰囲気があるなあ、と感じているのです。

 

【 I hear the breezes playing in the trees above 】

「そよ風が木々の中の高いところで戯れているのが聞こえる」。

hear ... ~ing は「...が~するのを聞く」です。

play は「遊ぶ」が基本の意味ですが、「演奏する」という場面にも使われます。

hear という動詞が使われていることや、歌全体に「音楽」のイメージがあることを考えると、「鳴っている」などと訳すのもよいかもしれないですね。

もしかしたら主人公は、木を揺らすそよ風を music in the night だと感じ取っているのかもしれませんし。

 

【 While all the world is saying "You were meant for love" 】

「世界のすべてが『あなたは恋に落ちる定めである』と言っている」。

最初に while という接続詞があります。

この部分は、実は前の文から続いているのです。

ただ、この while 以下は、前半部分に対して「時間的に同時並行的に生じている」ことを示しているだけのことで、根拠や理由を示しているワケではありません。

そのため、わかりやすさを優先して、二行に分けて表記しました。

和訳の際にも、無理に while のニュアンスを訳出しなくてもよいのかな、と思います。

mean to ~は「~するつもりである」ですが、受動態 be meant to ~ となると、「~という定めである」という意味になります。

 

【 Isn't it romantic? 】

「ロマンティックじゃない?」。

 

【 Merely to be young on such a night as this 】

「こんな夜にただ若いってことは」。

この部分は、前の行の it の内容を具体的に示しています。

というより、つながっている一文である、と理解する方がよいと思います。

It is ... to ~ の形が否定の疑問文になっている、と考えるのです。

「こんな夜にただ若いってことはロマンティックじゃない?」ってことですね。

young という単語が難しいです。

単純に「若い」だと考えると、若くないヤツはロマンティックな気分になっちゃイケナイのか? というツッコミが入りそうですし(笑)

「若々しい柔軟な感性を持った」みたいな意味にとらえたいところです。

でも、もしかしたら、本当に単純に「若い」という意味なのかもしれないですねえ。

トシを取ってしまうと、この主人公みたいに感じることが減ってしまうのは事実ですし(笑)

 

【 Isn't it romantic? 】

「ロマンティックじゃない?」。

 

【 Every note that's sung is like a lover's kiss 】

「歌われる全ての音が恋人のキスみたい」。

note はここでは「音、音色」のこと。

古い言葉では「調べ、旋律」を意味することもあるようです。

「歌われて」いるのですから、「旋律、メロディー」だと考えた方が自然かもしれないですね。

sing は「歌う」という意味ですが、人間が歌う場合には限られず、「楽器が音を出す、鳴る」という意味にも使われます。

主人公が感じ取っている音楽には「言葉」の要素が薄いような気もしますから、「歌われている」というよりは「鳴っている、奏でられている」という方がニュアンスが近いかもしれません。

 

【 Sweet symbols in the moonlight 】

「月明かりの中の甘いシンボルたち」。

主人公が感じ取っている様々な表象、しるし、兆し、みたいなもののことですね。

 

【 Do you mean that I will fall in love perchance? 】

「もしかして私が恋に落ちるだろうってことなの?」

Do you mean ~ ? は「~という意味なのですか?、~ということですか?」という問いかけです。

では、ここでの you は誰なのか?

前の行の sweet symbols in the moonlight なのではないかなあ、と思います。

主人公は月夜にいろんな「しるし」を感じていて、それらに対して「恋が始まるってことなの?」と問いかけているのだと思います。

perchance は「あるいは、ことによると」という意味です。

 

【 Isn't it romance? 】

「これはロマンスなんじゃない?」。

これはロマンスよね、私は恋をしてるのよね、ってことですね。

ところで、いろいろな歌手の歌を聴いてみると、この部分を Isn't it romantic? と歌っているものもあります。

その場合は、単純に「ロマンティックじゃない?」と繰り返しているだけ、ということになりますね。

 

以上を踏まえて和訳です。

 

ロマンティックじゃない?

夜に漂う音楽 音で聞こえる夢

ロマンティックじゃない?

動く影たちが古い呪文を書いてる

木の上でそよ風が戯れるのが聞こえる

世界の全てが告げてるわ

あなたは恋に落ちる定めなのよ、って

ロマンティックじゃない?

こんな夜にただ若いっていうだけで

ロマンティックじゃない?

鳴ってる音すべてが恋人のキスみたい

月明かりの中は甘い象徴でいっぱい

もしかして恋に落ちるってことなの?

これはロマンスなんじゃない?

 

いかがでしょう。

参考になりましたら幸いです。

/// Words by Lorenz Hart///

 

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