成見和子のブログ

日々雑感、ジャズ歌詞、映画、読書。

今夜、ロマンス劇場で【ネタバレ注意】

「今夜、ロマンス劇場で」を観ましたので、感想などをメモしておきます。

 

最初は楽しいのです、とにかく。

映画から飛び出して来たお姫様が、そのまんまのキャラクターで騒動を巻き起こす。

まるでドタバタ映画の続きを観ているみたいです。

そんな中で、お約束のような紆余曲折を経て、美雪と健司の距離は縮まっていきます。

そして観ている側も、お約束のように二人を応援する気持ちにさせられます。

ところが、途中でわからなくなるのです。

え、一体結末はどうなるの?

もしかして、お約束のようなハッピーエンドにならないの?

そんなのイヤ!

二人は幸せになって!

そんなヒリヒリするような気分で観ていると、突然気がつきます。

二人がどうなっていくのか、実はごく最初の時点で示されていたことに。

いやいや、何て巧いストーリーなんでしょう。

すっかり巻き込まれて、泣かされてしまいました。

こういうのがイイのですよねえ、映画って。

実は、これを観たあとに外出の予定を入れていたのですが、泣きすぎて顔がヘンになってしまい、外出は取りやめました・・・。

 

折に触れ映り込む奇妙な写真。

なぜか距離を置いて立っている男女。

ちらっと写っただけでも妙に気になっていましたが、この写真の秘密も後半に明かされます。

もうひとつのストーリーがあったのですねえ。

「ああ、そういうことだったのか・・・」という納得感が、何というか、「気持ちいい」とでもいう感じ。

つまり、巧みに構成されている、ってことですよね。

 

美雪が映画の世界からこちら側へやって来たのは、彼女自身の意思によるものでした。

その理由にはとても説得力があって、「ありえない設定だよねえ」なんていうくだらない感想は吹き飛んでしまいます。

我々が気がついていない、たまたま遭遇していないだけで、こんなことは時折どこかで起きているのではないか? という気にさせられます。

全体としては「ありえない設定のファンタジー」なのだけど、細部がリアル。

そうだよねえ、そういう状況だったらそう考えるよねえ、と納得なのです。

状況は「おかしい」のですけど、その状況での言動は「おかしくない」。

だから逆に人間の本質を突くことになる、とでもいうのでしょうか。

 

映画には映画ならでは、というものがあって、それはもちろん「映像」なのですけど、これがもう、キレイです。

綾瀬はるかのお姫様の美しさは完璧。

これは小説でもマンガでも表現できないですもんねえ・・・。

それから。

坂口健太郎と加藤剛は似てる?

いや、そんなはずはないのだけど。

加藤剛さんのお若い頃は、坂口健太郎さんとは全く違うタイプだったと記憶してます。

それなのに、この映画の中では、全く違和感なく同一人物なのです・・・。

それがまた切なくて・・・。

 

必見です。

ぜひぜひ。