成見和子のブログ

日々雑感、ジャズ歌詞、映画、読書。

それから【ネタバレ注意】

先日、数十年ぶりに夏目漱石「それから」を読みました。

そして映画化もされていると知って、「どうかな?」と思いつつ観てみました。

(原作の方がよかったなあ、と感じることが圧倒的に多いので。)

結果は「森田芳光監督、映像化ありがとー!」でした。

たっぷりと楽しみました。

 

実際の明治時代そのものではない、オシャレに作られた映画なのだとは思うけど。

代助の服装がカッコイイ。

ま、松田優作だから何を着てもかっこいいんだけど。

三千代のお着物の何て素敵なこと。

三千代は困窮しているのだから、実際には「そんなはずはない」のだけど、そこは映画ならでは。

 

家がいいです。

代助の家の洒落たインテリア。

兄の豪華な洋館。

父のお屋敷。

平岡の質素な借家。

映画化するに当たって、それぞれの家の間取り図は作成されたのかなあ。

あったら見たいなあ。

 

平岡の感じ悪さ、全開。

小林薫の演技がお見事。

これは本当に三千代が可愛そうだぁ・・・。

でも昔は平岡もいいヤツだったんだよねぇ・・・。

いちおう代助が友人扱いしてたワケだし。

職業上の不遇やら何やらでひねくれて、妻ともうまくいかず、女遊びで借金を作り・・・わかりやすい人物像だ。

 

回想シーンがどれもこれも美しい。

そもそも代助、なんで三千代を譲った?と怒りたくなってしまう。

最初から代助と三千代が夫婦になっていたら、どんなだっただろう、と想像してしまう。

代助が父の会社に入ったとしたら三千代はお金持ちの奥様。

いやいや、それはないか。

稼がねば、ってことで文筆業を始めたら、皮肉っぽい物言いがウケて人気が出て、三千代は文化人の妻。

明治時代の思いっきりスタイリッシュなカップルの出来上がり!

・・・そんなシーンを見てみたくなる。

 

平岡夫婦の壊れっぷり。

代助と三千代の接近。

代助の縁談。

少しずつ少しずつ事態は動いて行き・・・

私の一番好きなシーンは、代助が雨に濡れながら百合の花を買いに行くシーン。

そういえば百合の花はいつも雨と一緒だ。

原作もそうだったっけ?

演出なのかな?

あとで原作を確認してみよう。

 

このシーンから後はもう、凄まじい緊張感で終局へと向かいます。

結局、代助と三千代はどうなるんだろう?

この映画からは、わからないです。

実は、原作からも「わかった」とは言えないと考えています。

夏目漱石の「三四郎」「それから」「門」は「三部作」と呼ばれているみたい。

代助と三千代のその後は「門」を読めばわかる、ということになってるようなのだけど・・・。

本当にそうなのかなあ。

なんだか違う展開になる可能性も捨て切れないような気がして。

・・・これ、つまりは私が代助と三千代に肩入れしてしまってる、ってことで。

つまりは、この映画にそれだけの力があった、ってこと。

 

好みは別れると思います。

映像がキレイなだけでしょ、と感じる方もいらっしゃるかも、です。

私は好きです(^^)

 

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