成見和子のブログ

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ジャズ歌詞解説 ~Softly As In A Morning Sunrise~

今日の歌詞解説は Softly As In A Morning Sunrise です。

「朝日のようにさわやかに」という邦題で知られていますが、この邦題、実は歌詞の内容とはかけ離れているのです。

読んでいただければわかります。

早速いきましょう。

 

【 Softly, as in a morning sunrise the light of love comes stealing into a new born day 】

長い文ですので、まずは本体部分を取り出してみましょう。

the light of love comes が本体部分です。

愛の光がやってくる、ということですね。

この本体部分に、いろいろなオマケがくっついています。

どんな感じでやってくるのか、というのが stealing into a new born day の部分です。

stealing は steal の現在分詞です。

ここでは「叙述用法」という使われ方をしていて、「どんな具合に愛の光がやってくるのか」を説明しているのです。

新しく生まれる一日に忍び込むように愛の光はやってくる、ということになりますね。

さらに加えて as in a morning sunrise と言っています。

as in がちょっと難しいかなあ、と思います。

~におけるのと同様に、~の場合と同じように、といったニュアンスです。

忍び込むようにやってくる愛の光を、朝日が昇る様子に重ね合わせているのですね。

さて、最後に残った softly が問題です。

「朝日=さわやか」という感じ方は一般的ですし、new born day という言葉には「希望」のイメージがありますから、そこだけを見れば誤りではないのかもしれません。

でも、愛の光は「忍び込むように」やってくるのですし、何といっても曲調が「さわやか」ではありません。

「さわやか」と理解するのは無理があると思います。

辞書で softly を引いてみました。

穏やかに、静かに、そっと、優しく・・・などと書いてあります。

そもそも辞書にも「さわやか」に類する表現はありません。

「静かに」、「そっと」ぐらいに理解するのが妥当かなあ、と思います。

 

【 Oh, flaming with all the glow of sunrise a burning kiss is sealing the vow that all betray 】

この文も長いですから、やはり本体部分を取り出してみましょう。

a burning kiss is sealing the vow が本体部分です。

vow は「誓い」。

seal は「捺印する」。

燃えるようなキスが恋人たちの誓いにハンコを押す、ってこと。

要するに「誓いを立てる」ということですね。

the vow のあとに that all betray がくっついています。

betray は他動詞として「裏切る」という意味でよく知られていますが、ここでは目的語がなく、どう見ても自動詞です。

辞書で調べてみると自動詞 betray も載っていました。

「不実であると知れる」だそうです。

that は関係代名詞で、that all betray は直前の the vow を修飾しています。

全体で「全く不実な誓い」ということですね

誓いを立てるときには本気であっても、結局のところ全ては不実なものであったと判明する、そんな誓い、ってこと。

ますます「さわやか」ではなくなって来ましたね。

さて、前半の flaming 以下を見てみましょう。

flaming は、前の文の stealing と同じ「現在分詞」です。

flame は「燃え上がる」。

glow は「白熱、赤熱、まっ赤な輝き、燃え立つような色、照り輝き」。

flaming with all the glow of sunrise で「日の出の全ての輝きと共に燃え上がるように」ということになります。

朝日と共に静かに忍び込んできた愛の光は、日が昇るにつれて激しく燃え上がる。

そんな中での燃えるようなキスと誓い。

でもその誓いはいずれ破られて・・・という感じですね。

 

【 For the passions that thrill love and lift you high to heaven are the passions that kill love and let you fall to earth 】

長い長い文なので骨格を取り出してみましょう。

for the passions that ~ are the passions that ... というのが骨格です。

「なぜなら、~である情熱は ... である情熱だからである」です。

「 ~ 」 と「 ... 」の部分には特に難しい単語はないようですね。

thrill は動詞で、「ぞくぞくさせる、興奮させる」です。

名詞だと「スリル」で通じますから、イメージしやすいですね。

「 ~ 」の部分は「愛をぞくぞくさせて、あなたを高く天国へと持ち上げる」ということ。

「 ... 」の部分は「愛を消し去って、あなたを地面に落とす」ということ。

高みへと舞い上がらせる情熱は、同時にまた地面へと叩きつける情熱でもある。

愛の情熱にはそんな両面性がある。

始まった愛は必ず終わりへと向かう。

始まりは、終わりの始まりでもある。

愛とは、情熱とは、そんなものなのだ・・・う~ん、何とも暗い世界観ですねえ。

 

【 So ends each story 】

「そうやって、それぞれの物語は終わる」。

each という言葉が効いてます。

ひとつひとつの、それぞれの、たくさんの愛の物語が生まれては消え、生まれては消え・・・。

 

【 Softly, as in an evening sunset the light that gave you gloly will take it all away 】

中ほどの that は関係代名詞。

that gave you gloly が the light を修飾しています。

「あなたに栄光をもたらした光」という意味になりますね。

その光は、今度は夕日が沈むように、静かに、その栄光を全て持ち去ってしまうのです。

最初の sunrise と最後の sunset 。

morning と evening 。

みごとな対比ですねえ。

そして、どちらにも共通するのが「 softly 」という単語のイメージです。

これはやっぱり、どう考えても「さわやかに」ではないですね。

静かに、そっと、淡々と・・・といった感じでしょう。

ところで。

歌詞の中ほどに a burning kiss is sealing the vow という部分がありますが、ここは現在進行形になっています。

歌詞の最後の部分は the light ... will take it all away となっていて、こちらは未来形です。

これ、もしかしたら、絶頂の最中(現在進行形)にいる恋人達に対して「それ、いずれは消えてしまうんだよ(未来形)」と語りかけているのではないか、と。

そうだとすると、なかなか一層、怖~い歌ですよねえ・・・。

 

以上、参考になりましたら幸いです。

著作権の関係上、ここでは解説以上に踏み込んだ翻訳・和訳をすることはできません。

皆様それぞれに試みていただければ、と思います。

/// Words by Oscar HammersteinⅡ ///

 

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