成見和子のブログ

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ジャズ歌詞解説 ~Smile~

今日の歌詞解説は Smile (スマイル)です。

早速いきましょう。

 

【 Smile, tho' your heart is aching 】

これは命令文です。

辛いときでも笑いなさい! と命令しているのです。

tho' は though が短くなったものです。

ache は「痛む、つらい」という意味の動詞。

体の痛み、心の痛み、どちらにも使われる単語です。

ここではもちろん「心の痛み」ですね。

tho' your heart is aching で「あなたの心が痛んでいても」です。

 

【 Smile, even tho' it's breaking 】

これも同じ命令文。

最初の文にもあった tho' に even が加わって、より強く「たとえ~だとしても」と言っています。

it は前の文と同じ heart のこと。

break は「悲しみや絶望にうちひしがれる、張り裂ける」。

前の文の ache よりも強い言葉です。

 

【 When there are clouds in the sky you'll get by if you smile through your fear and sorrow 】

ちょっと長い文ですので、前半(get by まで)と後半(if 以降)を分けて考えてみましょう。

まずは前半。

when there are clouds in the sky は「空に雲がある時」。

つらいことがあった時、厳しい状況に置かれている時、ということですよね。

get by は「うまく切り抜ける、何とかやっていく、しのぐ」。

前半部分は「空に雲がある時でも、あなたは切り抜けるでしょう」ですね。

後半の中心部分は if you smile です。

「あなたが笑うならば」ですね。

through は「~を通して、~にもかかわらず」。

ちなみに、日本語になっている「スルー」は、この単語から来てます。

後半部分の意味は「不安や悲しみの中でも笑っていれば」ということになります。

 

【 Smile 】

一語だけでも立派な文です。

命令文で、もちろん「笑って!」と言っています。

 

【 And maybe tomorrow you'll see the sun come shining thru for you 】

この文の純粋な、狭い意味での述語は see です。

see だけだと単純に「見る」ですが、see ~ ... となると「~が...するのを見る」という意味になります。

ここでは「太陽がやってくるのを見る」ということになりますね。

shining は「輝きながら」。

動詞 shine が現在分詞となって、come に説明を加えているのです。

thru は through の短縮形です。

さっきも出てきた「スルー」ですね。

さっきは前置詞でしたが、ここでは「~を通して、突き抜けて」というニュアンスの副詞です。

shine にくっついて「輝き貫く」という感じでしょうか。

雲の隙間から光が差し込んで来る感じなのだと思います。

for you は「あなたに向かって」。

文全体で「そうすればたぶん明日には、太陽の光があなたに向かって差し込んでくるのを見ることになるでしょう」ということになります。

あ、and という接続詞に「そうすれば」という意味があるワケではないのです。

命令文+and という形で「~しなさい、そうすれば~」という意味になることがあって、ここはそれだろうな、ということです。

直前の Smile と繋がって、ひとまとまりになっている、ということなのです。

 

【 Light up your face with gladness 】

light up ~ は「~に火をつける、点火する、ともす」。

gladness は形容詞 glad が名詞になったものです。

glad は「うれしい、喜ばしい」ですから、gladness は「喜び」ということになりますね。

この文も命令文です。

全体で「喜びであなたの顔に灯をともしなさい」という意味になります。

 

【 Hide every trace of sadness altho' a tear may be ever so near 】

これも命令文です。

trace は「跡、痕跡」。

この単語が動詞として使われると「追跡する」という意味になります。

日本語でそのまま「トレースする」と使われることもありますよね。

Hide every trace of sadness で「悲しみの跡を隠しなさい」ですね。

altho' は although の短縮形です。

altho' 以下は「涙がとても近いかもしれないのだとしても」、つまり「涙があふれる寸前なのだとしても」ということですね。

この altho' 以下は、この文だけでなく、ひとつ前の Light up ~ の文にもかかっているのかもしれない、と思います。

 

【 That's the time you must keep on trying 】

time のあとに関係副詞 when が省略されています。

keep on ~ing は「~し続ける」。

try は「試みる、やってみる、努力する」ですが、「トライする」と言った方が、かえってわかりやすいかもしれないですね。

全体で「今こそあなたがトライし続けなくちゃならない時だ」といった意味だと思います。

 

【 Smile 】

もちろん「笑って!」です。

 

【 What's the use of crying 】

use of ~ ing は「~する効用、効果」。

この文は疑問文で、表面的には「泣く効用は何か?」と問いかけているのですが、つまりは「泣いたところで何になる? 何にもならないでしょ」ということ。

 

【 You'll find that life is still worthwhile if you'll just smile 】

you'll find that ~ は「あなたは~ということを発見するでしょう」という意味です。

worthwhile は「値する、価値がある」。

still は「それにもかかわらず、それでも、なお」。

if の前までの意味は「人生は、それでもなお生きるに値する、ということをあなたは発見するでしょう」となりますね。

if you'll just smile は「あなたがただ笑うならば」ですが、「あなたが笑いさえすれば」というニュアンスに捉えるのがよいのかな、と思います。

 

以上、参考になりましたら幸いです。

著作権の関係上、ここでは解説以上に踏み込んだ翻訳・和訳をすることはできません。

皆様それぞれに試みていただければ、と思います。

/// Words by John Turner & Geoffrey Parsons ///

 

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