今日の歌詞解説は I Wish You Love (アイ・ウィッシュ・ユー・ラブ)。
もともとはフランス語の歌だそうです。
英語詞の作詞はアルバート・A・ビーチ。
ヴァースから読んでいきましょう。
(Verse)
【 Goodbye 】
もちろん「さようなら」という意味。
この歌の場面が「別れ」であることがストレートにわかりますね。
【 No use leading with our chins 】
no use の前に There is または It is が省略されているのだと思います。
There is no use ~ing で「~するのは無益だ」、「~して何になる?」という意味。
chin は「あご」。
lead with one's chin は「ボクサーがあごをノーガードでさらす」、「軽率にふるまう、話す」という意味らしいです。
じゃあ、ここではどういう意味なのか、というと・・・
う~ん、よくわからない。
お互いに無防備にやりあう、つまり「傷つけ合う」というニュアンスじゃないかなあ、と思うのですが。
【 This is where our story ends 】
where は関係副詞です。
This is where ~ で「ここが~する場所である」という意味になります。
This is where our story ends は「ここが私たちの物語が終わる場所だ」ということ。
【 Never lovers, ever friends 】
文として完全ではないのは、何かしら省略されているのでしょう。
「私たちは恋人にもなれないし、友人でもいられない」といった意味なのでは、と思
うのですが、ちょっと自信ないです。
「恋人としてはダメだったけど、ずっと友達よ」という理解をする方もあるようです。
どちらが正解なのか・・・。
これはネイティブの方に聞いてみるしかないのかな、という気がします。
【 Goodbye 】
歌詞をここまで読んできて、とても重い「さようなら」なのだということがわかりますね。
【 Let our hearts call it a day 】
call it a day は「切り上げる、おしまいにする」。
ここでの let は「~に~させる」という意味です。
文全体で「私たちの心に call it a day させなさい」ということになります。
要するに「終わりにしましょう」なのだけど、単純に us ではなくて、 our hearts という言葉を使っていることで、とても深い意味に感じられますね。
これで終わりなのだということを私たちの心に言い聞かせましょう、というニュアンスなのだと思います。
【 But before you walk away I sincerely want to say 】
「でも、あなたが立ち去る前に、私は心から~と言いたい」という意味なのですが・・・。
あれ? 「~」の部分がありませんね。
何を言いたいのでしょう?
実は、歌詞のここまでがヴァース(導入、前置き)で、ここから先がコーラス(本体部分)なのです。
そして、「~」の内容が、そのままコーラスの歌詞になっているのです。
つまり、この歌は「別れに際して相手に贈る言葉」なのですね。
では、コーラスを見てみましょう。
(Chorus)
【 I wish you bluebirds in the spring to give your heart a song to sing and then a kiss 】
長い文ですので、きちんと分解して読んでいきましょう。
この文の中心部分は I wish you bluebirds です。
特に、動詞 wish の理解が重要。
ここでの wish は、「~に~を願う」、「~に~を祈る」という意味です。
目的語がふたつあって、「二重目的語」と呼ばれます。
I wish you good luck だったら「私はあなたに幸運を願います」、つまり「幸運を祈ります」という意味になります。
この歌では I wish you bluebirds と言っていますから、「私はあなたに青い鳥を願います」ということになりますね。
これでは日本語になりませんが、「あなたに青い鳥が訪れますように」といった意味だろうと思います。
bluebird は、辞書によると「ルリツグミ」という鳥なのだそうです。
日本人には馴染みのない名前ですね。
「青い鳥」だと理解しておけばよいかな、と思います。
さて、これで I wish you bluebirds の部分は理解できたとして、この文にはいろいろなオマケがくっついてます。
in the spring は「春に」。
to give your heart a song to sing は「あなたの心に歌を与えるために」。
song to sing は「歌うための歌」ということなのだけど、つまりは「歌」ってことですよね。
もしかしたら song は「鳴き声、さえずり」ってことなのかな。
たぶん両方をイメージさせる単語なのだろうと思います。
and then a kiss はちょっとわかりにくいけど、then を抜いてみるとスッキリ理解できるのではないかと思います。
つまり、青い鳥は歌とキスを与えてくれるのですね。
then が挿入されているので、「歌と、それからキスを」というニュアンスになります。
ずいぶんいろいろと書き連ねましたけど、文全体の意味は「春には青い鳥が訪れて、あなたの心に歌とキスを授けてくれますように」ということになります。
【 But more than this I wish you love 】
「でもそれよりも、あなたに愛を願います」ですね。
わかりやすい日本語にすると、「あなたに愛が訪れますように」という感じでしょうか。
う~ん、なんか切ないですねえ。
「私ではない他の誰かの愛が訪れますように」ということですから・・・。
もちろん、この I wish you love が曲名になってます。
【 And in July a lemonade to cool you in some leafy glade 】
July の後に I wish you が省略されています。
leafy は「葉の茂った、緑の豊かな」。
glade は「林間の空地、湿原」。
文全体で「そして7月には緑豊かな林の中であなたを冷やすレモネードがあるように祈ります」ということですね。
そのまま日本語にすると、なんとも不自然です。
和訳をするとしたら、いろいろと工夫する必要がありそうですね。
【 I wish you health 】
あなたが健康でありますように、ですね。
【 And more than wealth I wish you love 】
富よりも愛がありますように。
wealth は前の文の health と韻を踏んでます。
【 My breaking heart and I agree that you and I could never be 】
「私のうちひしがれた心(壊れた心、砕けた心)」と「私」が that 以下のことを合意した、と言っています。
何のこっちゃ、ですよね。
先にthat 以下の内容を考えてみましょう。
you and I could never be とは「あなたと私は決して be できないだろう」ということ。
では、ここでの be とは?
これが、文法的にちょっとわからないのです。
be のあとに何かが省略されていて、「あなたと私は恋人同士にはなれない」といった意味なのか。
be 単独で「存在する、生存する」という意味がありますから、「あなたと私は共に生きることができない」ということなのか。
いずれにせよ、二人には将来、未来、明日がない、ということを言っているのは確かです。
my heart and I agree は「自問自答した結果、~という結論を出した」ということなのでしょう。
breaking heart と言っていますから、その心は傷つき、壊れて、砕けて、打ちひしがれている、ということ。
ということで、この文の意味は概ね理解できましたが、和訳するとしたら、あれこれ悩むことになりそうですね。
【 So with my best, my very best, I set you free 】
I set you free は「あなたを自由にします」ということ。
best がよくわからないのですが、best wishes のことなのではないかなあ、と思います。
「好意、幸福を祈る気持ち」ということなのでは、と思えます。
very は強調の単語なので、「本物の、心からの好意」ということなのでは。
「私にできる最良のことはあなたを自由にすることです」という理解をする方もいらっしゃるようですが、私は「心からあなたの幸福を祈って、あなたを自由にします」なのではないかなあ、と考えています。
【 I wish you shelter from the storm 】
嵐から身を守ってくれる住みかがありますように、ですね。
【 A cozy fire to keep you warm 】
あなたを暖める心地よい炉がありますように。
【 But most of all, when snow flakes fall I wish you love 】
でも何よりも、雪が降る時には、あなたに愛がありますように。
「雪の舞う寒い季節にあなたを暖めてくれる人が現れますように」ということなのかな、と思います。
以上、参考になりましたら幸いです。
著作権の関係上、ここでは解説以上に踏み込んだ翻訳・和訳をすることはできません。
皆様それぞれに試みていただければ、と思います。
/// Words by Albert Beach ///
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