成見和子のブログ

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ジャズ歌詞解説 ~I'll Be Seeing You~

今日の歌詞解説は I'll Be Seeing You (アイル・ビー・シーイング・ユー)です。

書き始める前に、この「you」は一体誰なんだろう? と考えてました。

結論は・・・「誰でもOK」です。

この曲は、もともとミュージカルの中の一曲だったそうです。

なので、そこを深掘りすれば判明することなのかもしれません。

でも、この歌は単独で取り上げられて歌い継がれています。

「劇の一場面と分かちがたく結びついている」とは言えない状況です。

ですから、歌い手、聴き手、それぞれのイマジネーションに任されている、と言ってよいと思うのです。

今は会えない恋人

別れてしまった恋人

思いを伝えられずに片思いに終わってしまった相手

・・・それにとどまらず、「家族」や「友人」を想ってこの歌を聴く人もいるかもしれません。

それでよいのだろうな、と思います。

 

では歌詞を見ていきましょう。

 

【 I'll be seeing you in all the old familiar places that this heart of mine embraces all day through 】

まずは that の前までを考えてみましょう。

「私は、いつもの馴染みの場所全てで、あなたに会うでしょう」ですね。

familiar は「おなじみの、身近な、よく見かける」。

old は「古くからの、昔なじみの、いつもの」。

I'll be seeing you は未来進行形になっています。

手元の文法解説書によると、「確定的な未来の予定(成り行き)」を表すのだとのこと。

例として

I'll be seeing her soon (私は彼女に近いうちに会うことになっている)

というのが挙げられています。

単なる未来時制の場合

I'll see her soon(近いうちに彼女に会います)

ということになって、「話し手の意思」を表すのだとのこと。

未来進行形の場合、話し手の意思とは関係なく、「~することになるだろう」というニュアンスを表すようですね。

主人公の意思に関係なく、いろんな場所に相手の面影を見てしまう、そうなってしまう、そんな感じなのでしょう。

次に that 以下を見てみましょう。

この that は関係代名詞だと思います。

that の内容が all the old familiar places を説明しているのだと考えられます。

this heart of mine は「私のこの心」。

何でこんな形になっているのかというと、my heart に重ねて this をくっつけることが出来ないから。

this my heart とは言えないのです。

なので、形を変えて this heart of mine となっているのです。

embrace という動詞の、ここでの意味は難しいですねえ。

辞書を見ると、「抱きしめる、いつくしむ、囲む、受け入れる・・・」

う~ん、ここはやはり基本の「抱きしめる」かなあ、と思います。

うしろに all day through 「一日中」がくっついていますから、ず~っと心の中に抱いて慈しんで・・・という感じでしょうか。

embrace は現在形ですから、現在の状況を表しています。

今現在、主人公の心は(恋しい相手と過ごした思い出のある?)いつもの馴染みの場所を抱きしめて大切に思っている。

そして、これから先も、その場所でその人と会うことになるだろう(未来進行形)・・・ということなのかなあ、と思います。

 

【 In that small cafe 】

前の文の old familiar places が具体的に列挙されていきます。

(厳密に言うと「前の文」なのではなくて、続いているのかもしれないですが。)

「あの小さなカフェ」ですね。

主人公と相手は、実際にそのカフェで一緒の時間を過ごしたのかもしれない、という気がします。

 

【 The park across the way 】

「道の向こう側の公園、広場」。

 

【 The children's carousel 】

「子供たちの回転木馬、メリーゴーラウンド」。

そのまま「カルーセル」でも通じるかもしれないですね。

 

【 The chestnut trees 】

「栗の木」。

 

【 The wishing well 】

wishing well は「コインを投げ込むと願い事をかなえてくれるという井戸」だそうです。

二人がずっと一緒にいられますように、幸せになれますように、と願った場所なのかも・・・おっと、深読みが過ぎました。

 

【 I'll be seeing you in every lovely summer's day in everything that's light and gay 】

in every lovely summer's day は「素敵な夏の毎日には」。

in everything that's light and gay は「楽しくて陽気な全てのものの中に」。

lovely は、お天気が素敵な、つまりお天気がいい、というニュアンスだと思います。

lovely, light, gay と明るいイメージの単語が並んでいます。

一緒に過ごした時間の輝かしさと、これから先の悲しい喪失感の対比が切ないですねえ・・・あ、また深読みが過ぎたかも、です。

 

【 I'll always think of you that way 】

「私はいつも、そんな風にあなたのことを思うだろう」。

 

【 I'll find you in the morning sun 】

「私は朝日の中にあなたを見つけるだろう」

 

【 And when the night is new I'll be looking at the moon 】

この文の new がよく分からないです。

「夜が新しい」というのは「夜になったばかりの時間帯」のことなのか、「新しくやって来た夜」のことなのか。

今後、何かのきっかけで「あ、そうか!」と分かることがあればいいなあ、と思います。

I'll be looking at the moon は「私は月を見るだろう」ですね。

未来完了形ですから、「私は月を見るのだ!」ではなくて「月を見上げることになるだろう」というニュアンスですね。

意志的に行動するのではなく、自然とそうなってしまう、という感じ。

 

【 But I'll be seeing you 】

夜になると月を見上げる、でもやっぱりそこにあなたの面影を見てしまう・・・のですね。

 

以上、参考になりましたら幸いです。

著作権の関係上、ここでは解説以上に踏み込んだ翻訳・和訳をすることはできません。

皆様それぞれに試みていただければ、と思います。

/// Words by Irving Kahal///

 

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