成見和子のブログ

日々雑感、ジャズ歌詞、映画、読書。

ジャズ歌詞解説 ~I Remember You~

今日の歌詞解説は I Remember You (アイ・リメンバー・ユー)です。

ヴァースから解説します。

早速いきましょう。

 

(Verse)

【 Was it in Tahiti? 】

「それはタヒチでのことだっただろうか?」ですね。

 

【 Were we on the Nile? 】

「私たちはナイル川の上にいたのでしたっけ?」。

 

【 Long long ago, say an hour or so, I recall that I saw your smile 】

「ずっとずっと昔、1時間かそこらだろうか、あなたの笑顔を見たことを思い出す」と言っています。

say は副詞で、「たとえば」という意味です。

数詞の前にくっつくと「まあ~ぐらい」というニュアンスになります。

もちろん実際には1時間前なんてことはないのですが、それぐらい近く感じられる、ということですね。

ここまでがヴァースです。

 

(Chorus)

【 I remember you 】

「私はあなたを覚えている」。

 

【 You're the one who made my dreams come true a few kisses ago 】

true までの意味は「あなたは私の夢を実現させた人だ」ですね。

a few kisses ago が難しいです。

a few days ago だったら「このあいだ」とか「2、3日前」という意味ですから、a few kisses ago は「2、3キス前」ということになるのかあ。

実際にはかなりの過去なのだけれど、数日前のような気がする。

かわしたキスの記憶も鮮明で・・・そんな雰囲気をとてもよく表している表現だと思います。

ただ・・・これを日本語にするのは超難問。

和訳をするとしたら、かなり悩むことになりそうです。

 

【 I remember you 】

二度目の「 I remember you 」。

直前の文を読んだあとなので、キスのイメージも加わって、最初の I remember you よりも意味が深まって感じられますね。

 

【 You're the one who said "I love you, too" 】

「あなたは『私もあなたを愛している』と言ってくれた人だ」。

 

【 I do 】

do が何を言っているのか、難しいです。

この do は「代動詞」と呼ばれるものです。

前にある動詞の反復を避けるために用いられます。

ここで「前にある動詞」が何かと考えると、やはり直前にある love ということになりそう。

「私は愛している」ということですね。

気になるのは時制です。

前の文の " I love you " は現在形になっていますが、実際にこの言葉が発せられたのは過去のことです。

主節の動詞 said が過去形ですので。

主人公は過去に「愛している」と言われたことを思い出して、それに対して I do と現在形で返しているのです。

つまり、「私は今でも愛している」ということなのではないかなあ、と思います。

 

【 Didn't you know ? 】

「知らなかった?」と問いかけています。

ここは過去形になっています。

過去の恋人に対して語りかけているからなのでしょうか。

うまく説明ができないです。

この歌の歌詞は最初から「過去と現在が近くて、交錯している状態」で展開している、と感じます。

この部分もその現れなのかなあ、と思います。

 

【 I remember too a distant bell and stars that fell like a rain out of the blue 】

stars までは「私は遠い鐘の音と星たちのことも覚えている」という意味です。

that 以下は stars を修飾しています。

「突然雨みたいに降ってきた星たち」ですね。

out of the blue は「にわかに、だしぬけに、突然」です。

 

【 When my life is through and the angels ask me to recall the thrill of them all, then I shall tell them I remember you 】

長い文ですが骨格はシンプル。

When ~ , then ... という形です。

「私の人生が終わって、天使たちが私にあのワクワクを全部思い出すように言ったら、そしたら私は天使たちに『あなたのことを覚えてる』と言うだろう」。

人生が終わりを迎えて、天使たちが迎えに来て、あのドキドキやワクワクを全部思い出して、と呼びかける・・・「思い出を走馬灯のように見る」みたいな感じでしょうか。

そして主人公は天使たちに向かって最後の言葉 " I remember you " を発する・・・。

自分の人生の最期はきっとそんなふうだろう、と主人公は考えているのですね。

through は「通して、貫いて」という意味ですが、「通して貫いた結果、終了する」というニュアンスでも使われるようです。

them が何を指しているのかというと笑顔やキスや鐘の音や降ってくる星のことだと思います。

愛した人の記憶と結びついている、たくさんの、いろんなこと、ですね。

 

以上、参考になりましたら幸いです。

著作権の関係上、ここでは解説以上に踏み込んだ翻訳・和訳をすることはできません。

皆様それぞれに試みていただければ、と思います。

/// Words by Johnny Mercer///

 

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