今日の歌詞解説はAll Or Nothing At All (オール・オア・ナッシング・アット・オール)です。
早速いきましょう。
【 All or nothing at all 】
「全てか、あるいは全く何もなし」ですね。
完全な文ではありません。
主語・動詞は省略されています。
主語は I 、つまり主人公でしょう。
動詞は特定できませんが、この歌全体の意味から、言いたいことはわかります。
全てを手に入れるか、さもなければ何もない方がいい、中間はない、ってことですね。
主人公は男性か女性か・・・どちらでもよいと思います。
シナトラの歌で大ヒットしたとのことですが、女性シンガーの素晴らしい歌唱も多数あります。
私には、この歌の感性はとてもよくわかります。
なので、解読作業は女性を主人公としてイメージしつつ進めていこうと思います。
【 Half a love never appealed to me 】
この文の主語は half a love ですが、語順がちょっと不思議な感じですよね。
文法的には、a half love 、half a love 、どちらもOKのようです。
意味に違いがあるのかというと、特にルールはないようです。
appeal to ~ は、(物事が)~に訴える、~の気に入る、~の興味をそそる、です。
(~ には「人」が入ります。)
全体で「半分の愛は決して私の気に入らない」ということになります。
【 If your heart never could yield to me, then I'd rather have noting at all 】
yield to ~ は「~に屈服する、従う、なびく」。
would rather ~ は「むしろ~したほうがよいと思う」。
全体で「あなたの心が私に屈服することがないのなら、私はむしろ、全く何も取得しないほうがいい」という意味になります。
相手の心を完全に自分だけのものにしたい、それが叶わないなら何もいらない、その方がマシ、ってことですね。
いやいや、よ~くわかります。
でも現実は、否応なく惹かれていってしまい・・・いやいや、よ~くわかります。
【 All or nothing at all 】
ここまで読んでくると、all or nothing at all の意味がよ~くわかりますね。
【 If it's love there is no inbetween 】
「それが愛ならば、『中間』はないのです」ということでしょうか。
inbetween は、ここでは名詞で、「中間的なもの」という意味です。
if には「~の時にはいつでも」という用法もあるようです。
そちらだと考えると「愛にはいつも中間なんてないのです」ということになりますね。
【 Why begin, then cry for something that might have been 】
わかりにくい文ですね。
まずは骨格を見てみましょう。
「Why begin, then cry」が骨格です。
why に動詞の原形が2つ、くっついています。
「why + 動詞の原形」という使い方があるようです。
異議を申し立てる時に使い、「なぜ~するのか?(おかしいでしょ)」という意味合いになるようです。
why begin, then cry で「なぜ始めるの、そして泣くの?」。
恋だの愛だのを自分でスタートさせておいて、あとで泣く。
そんなの分かってたことでしょ、今さら泣いて文句を言うなんておかしいわよ、みたいな感じでしょうか。
cry のあとに、いろいろとくっついています。
cry for ~ は「~を泣いて求める」。
something that might have been が難しいですねえ。
that は関係代名詞です。
ここでの be は「存在する、ある」という動詞です。
might は推量を表す助動詞です。
might have + 過去分詞で、過去のことの推量を表します。
something that might have been で「あったかもしれない何か」ということになりますね。
誤解を恐れず言ってしまえば、「完全な愛」みたいなもののことかなあ、と思います。
cry for something that might have been で「あったかもしれない何かを求めて泣く」。
文全体で、「自分で愛だの恋だのを始めておいて、その後で、足りないものがある! 私はあなたの全てが欲しいのよ! と騒ぐなんて。なぜなの? おかしいでしょ。」といったニュアンスだと思います。
【 No, I'd rather have nothing at all 】
「そう、私はむしろ全く何も得ない方がよいです」という意味だと思います。
ここでの No を「自問自答に対する答え」だと考えれば、否定の意味の文が続きますから、「はい、そう」ということになるでしょう。
「全てを得られないとわかって泣く」という展開になることへの拒絶を表しているのであれば、「そんなのは嫌よ!」ということになるかと思います。
どちらでもよいかな、という気もしますが。
【 But please don't bring your lips so close to my cheek 】
この But は「しかし」といった強い意味ではないと思います。
日本語でも、話を続けるための軽い「合いの手」みたいな感じで「でも、・・・」と言うことがありますよね。
それに近い感じじゃないかなあ、と思います。
「でもお願い、あなたの唇を私の頬にそんなに近づけないで」ですね。
【 Don't smile or I'll be lost beyond recall 】
「微笑まないで、さもないと私、墜ちてしまって取り返しがつかなくなってしまうから」。
命令文 + or で「~しなさい、さもないと・・・」という意味になります。
lose は「道に迷った、こわれた、堕落した、混乱した」。
recall は「呼び戻し、取り消し」。
beyond は「~の向こうに、~を越えて」。
beyond recall で「呼び戻せないところへ行ってしまう、取り消しできる範囲を超えてしまう」ということですね。
【 The kiss in your eyes, the touch of your hand makes me weak 】
主語が二つあります。
the kiss in your eyes は「あなたの目の中にあるキス」。
抽象的な表現ですね。状況はイメージできますが。
the touch of your hand は「あなたの手が触れること、あなたの手のタッチ」。
こちらは具体的です。
どちらもが makes me weak 「私を弱くさせる」と言っています。
動詞が makes なので主語は単数のはず、「主語が二つ」だというのはおかしいのでは? という気もします。
文法的に説明が可能なのかもしれませんが、ここは深入りしないことにしましょう。
(私にはよくわからん! ってことです・・・。)
【 And my heart may grow dizzy and fall 】
「そして私の心はふらふらになって崩れ落ちてしまうかも」。
dizzy は「めまいがして、ふらふらして、混乱して」。
【 And if I fell under the spell of your call, I would be caught in the undertow 】
この文は「仮定法過去」という形です。
単なる条件ではなく、事実に反する仮定や可能性に乏しい想像を表す際に使われます。
spell は「魔力、魅力」。
call は「呼び声」ですが、「誘惑、魅力」という意味もあるようです。
(根っこにある「こっちへおいで!」という意味合いは共通だと思います。)
fall under the spell of ~ で「~に魅せられる、~のとりこになる」です。
undertow は「引き波、底流」。
全体で「もしも私があなたの誘惑の魔力のとりこになってしまったとしたら、私は引き波にさらわれてしまうだろう」という意味になります。
【 So, you see, I've got to say no! no! 】
「だから、わかるでしょ、私は no! no! と言わなければならないの」という感じでしょうか。
have got to ~ は、「~しなければならない」という慣用表現です。
【 All or nothing at all 】
最後に all or nothing at all と繰り返して終わり。
以上、参考になりましたら幸いです。
著作権の関係上、ここでは解説以上に踏み込んだ翻訳・和訳をすることはできません。
皆様それぞれに試みていただければ、と思います。
/// Words by Arthur Altman & Jack Lawrence///
★こちらの記事もどうぞ