今日の歌詞解説は All Of Me (オール・オブ・ミー)です。
この歌にはヴァースもあるのですが、ヴァースの内容の理解が不可欠、というものでもありませんので、コーラスのみの解説とします。
失恋の歌である、ということを念頭に置いて読んでいただければ十分です。
では、いきましょう。
【 All of me, why not take all of me ? 】
why not ~ ? は、単純には「なぜ~しないのですか?」ですが、その裏には「~してもよいではないか」、「~してはどうですか」というニュアンスを含みます。
なぜ私のすべてを奪わないのか? 奪ってもよいではないか、奪ってくれませんか、奪って欲しいのよ・・・、ということですね。
take の目的語 all of me が強調されて冒頭にも出てきています。
【 Can't you see I'm no good without you ? 】
can't you see ~ は、単純には「~だということが、わからないのですか?」ですが、その裏には「わかるでしょ」、「わかって欲しい」というニュアンスを含みます。
I'm no good without you は「私はあなたがいないと no good なの」ということ。
no good は「良くない」ですが、具体的にどういった状態を表すのか、それは読み手の想像力次第、といえそうですね。
日本語としては「あなたがいないとダメなの」あたりの表現になるかなあ、と思います。
【 Take my lips 】
私の唇を奪って、ですね。
これは「キスして」ではありません。
私の体から唇を取り去って持って行ってしまって! という感じでしょうか。
【 I want to lose them 】
私は唇を失ってしまいたい、ですね。
them は唇のことです。
lips は複数形なので it ではなく them なのです。
これも、日本語の「あなたに唇を奪われたい(キスして欲しい)」とは違います。
唇なんてもう要らないの! なのです。
解説はしませんでしたが、ヴァース部分に you took my kisses というフレーズがあります。
主人公は恋する相手とキスしたことがあるのですね。
キスするような間柄だった。
それが今は、相手は去ってしまい・・・なのです。
ですから、「唇なんて失ってしまいたい」は「あなたとキスできない唇なんて、もう要らないの!」というニュアンスが含まれているのではないかなあ、と思います。
【 Take my arms 】
私の腕を奪ってしまって。
【 I'll never use them 】
もう決して使うことはないのだから。
これも、「この腕であなたを抱くことはないのだから」という意味を含んでいるのでしょう。
【 Your good-bye left me with eyes that cry 】
あなたの「さよなら」は私を置き去りにした、泣く目と共に。
主語が人ではなく「 your good-bye 」というところが何とも理屈っぽい表現ですね。
文法の教科書では「無生物主語」と呼ばれます。
主語の形を取っていますが、意味上は原因や理由、方法・手段などを表します。
あなたのさよならが原因で私は取り残されて泣いている、ってことですね。
eyes that cry の部分もちょっと不思議な表現です。
実際に泣くのは主人公なのですが、涙でいっぱいの目にスポットを当てた、視覚的な表現ですね。
【 How can I go on, dear, without you ? 】
ねえあなた、あなたなしで私はどうやってやっていけばいいの?
「あなたなしではやっていけないわ」というニュアンスですね。
この歌は、こういう疑問の形を取った表現が多いですね。
【 You took the part that once was my heart 】
that は関係代名詞で、that 以下の内容が the part の説明になっています。
「あなたは、かつて私の心だった部分を奪った」という意味になります。
「かつて私の心だった部分」ということは・・・
今は「心」はなくなってしまったのですね。
なぜなら、あなたが奪って行ってしまったから。
心があった場所は、まさに「ぽっかり穴があいてしまった」状態なのでしょう・・・。
【 So why not take all of me ? 】
だったら、なぜ私の全てを奪ってくれないの?
あなたは私の心を奪って去ってしまった。
残された私の体にはもう何の意味もない、唇も腕も必要ない、全部持って行ってしまって!
・・・う~ん、思いっきり失恋の歌ですねえ。
ご存知だと思いますが、この歌の曲調はそれほど暗いものではありません。
曲だけを聴くと、こんな内容の歌だとは想像できないだろうと思います。
インスト曲として演奏される皆様にも、歌の内容を知っておいていただきたいなあ、と思います。
以上、参考になりましたら幸いです。
著作権の関係上、ここでは解説以上に踏み込んだ翻訳・和訳をすることはできません。
皆様それぞれに試みていただければ、と思います。
/// Words by Seymour Simons ///
★こちらの記事もどうぞ