成見和子のブログ

日々雑感、ジャズ歌詞、映画、読書。

オーケストラの少女【ネタバレ注意】

「オーケストラの少女」観ましたので感想をメモしておきます。

 

観てみようと思ったのは、先日観た「小さいおうち」の中に話題として出てきたから。

映画の存在自体は知っていました。

ただ、なぜだか勝手に「格調高い名作」だと思い込んでいたのです。

実際に観てみたら、思いっきりコメディーでした。びっくり。

そうだったのねえ~、です。

 

「ありえね~」な展開が続いて、最後はハッピーエンド。

でも、部分部分の描写は「あるある」な感じなので、とても楽しいです。

パッツィーがオーケストラの練習に忍び込んで、歌でストコフスキーと「共演」してしまう場面がよかった!

いい音楽には身体が反応してしまう指揮者の姿がリアルです。

この場面があるから、終盤で失業音楽家軍団がストコフスキーの家に忍び込んで演奏を始める場面でも展開が想像できて、「くるぞくるぞ、キター!」という感じで楽しめます。

対して、実業家たちの「そこにメリットはあるか?」で大騒ぎする姿もまた「ありそうだよね~」で笑えます。

純粋に音楽の力だけでは事態は動かない、金持ちたちの「欲」がらみで意外な展開になる、というところが納得です。

あと、タクシー運転手のキャラクターが最高!

 

1937年の映画だとのこと。

この時期のアメリカで「失業者」を題材にするのは、どんな感じだったのでしょう。 

パッツィーの前向きな暴走?は共感を得られたのだろうか?

「ありえね~」な展開とハッピーエンドは受け入れられたのだろうか?

いろいろと気になります。

 

2022年の日本ではどうでしょう?

無理なのではないか、受け入れられないのではないか、という気もします。

「ストーリーがご都合主義」「主人公の行動が鼻につく」といってバッシングを受けてしまうかも。

 

「往年の名作」としては十分に楽しめたけれど、今の時代に「観たら元気が出るよ!」みたいなお勧めの仕方はできないかなあ、と思います。

「頑張れば道は開ける!」という時代ではなくなってしまった、ということですよね。

ちょっと複雑な気分です。

 

★こちらの記事もどうぞ