成見和子のブログ

日々雑感、ジャズ歌詞、映画、読書。

マレフィセント【ネタバレ注意】

「マレフィセント」観ました。

あまりに良かったので、続けて「マレフィセント2」も観ちゃいました。

以下、断片的ですが感想など。

 

まずは「マレフィセント」の方から。

 

いやいや、「眠れる森の美女」からこんなお話を作ってしまうとは。

完璧なストーリーに脱帽です。

主人公マレフィセントのなんと魅力的なこと。

少女時代のなんと初々しくて可愛らしいこと。

翼を取り戻したマレフィセントの飛ぶ姿のなんとカッコイイこと。

映像は美しいし、これは何度も観る作品になりそうです。

 

マレフィセントとステファンの憎しみ合いと復讐の連鎖。

ステファンはそこから抜けることなく自滅していく。

マレフィセントは乗り越えていく。

乗り越えていく原動力となったのはステファンの血を引いた娘オーロラへの愛。

いやいや、何という設定でしょう。

 

カラスのディアヴァル最高!

マレフィセントに家来にさせられたのだけど、次第に「バディ」みたいになっていく。

時にマレフィセントに内省を促す役回りも担っていて、友情・信頼のシンボル、といった感じ。

 

フィリップ王子のキスでオーロラ姫は目覚めない。

ここはものすごく大事なポイントだと思います。

「真実の愛」は最初から存在するようなものではない、育つもの、育てていくものなのだ、と。

いくら善良なフィリップでも、オーロラとの間で関係を深めることなく「真実の愛」が生まれたりはしない、ってことなのですよねえ。

 

この作品の中で、観ていて最も辛かったのはマレフィセントがオーロラにかけた呪いを解こうとして出来なかった場面。

自分のしてしまったことの残酷な結果を突きつけられる。

私は本気で泣いてしまいました。。。

 

さて、ここからは「マレフィセント2」のお話。

 

これは「おとぎ話の続き」じゃないなあ、というのが一番の感想。

前作はマレフィセントとステファンの個人間の憎しみや復讐が引き起こした騒動だったけれど、これは違う。

国家・民族(映画では「種族」で描かれているけれど)の問題。

ああ、こうやって戦争が起きるのだなあ、と思わされます。

もちろん現実そのものではないけれど、様々な要素が絡み合っての展開がとてもリアルです。

イングリス王妃だけを悪者にすることはできないなあ、と感じます。

 

フィリップ王子は本当にいいヤツ!

一見単純なお人好しに見えるけれど、そうじゃない。

母親のやったことをオーロラから告げられて一瞬にして理解する。

母よりも恋人を信じたから、というよりは、平和と共存を願う魂の嗅覚みたいなものを感じます。

よくもあの王妃からこの善良な息子が生まれたなあ、です。

あ、そういえばオーロラも、ダークサイドへ堕ちっぱなしだったステファンの娘なのだっけ。

この二人、まさに悪から生まれた希望のカップル。

 

自分の出自を知ったマレフィセントは、自らの種族のために戦う決心をするけれど・・・やっぱり、という感じでオーロラを救う展開になります。

それを目の当たりにした人間も妖精も戦いを休止、そこへフィリップの言葉で「共存」という道があることに皆が気がつく。

このあたりは、「現実にはそんなことにはならないよねえ」なのだけど。

でも、だからこそ、映画では平和や共存を描かなくてはならいのだろうなあ、と思います。

 

イングリッド王妃がヤギにされたのは「いい!」と思います。

しかも、解こうと思えば解ける魔法で。

マレフィセントは今回は「憎しみと復讐の連鎖」を避けたのですね。

前作と決定的に違うところです。

(といっても、前作でもステファンは「自滅」で命を落としたのであって、マレフィセントが命を奪ったのではありませんが。)

 

2022年の現在も戦争が起こっています。

なぜこの映画みたいな結末にならないんだろう・・・。

悲しくなってしまいます。