映画「パーフェクト・ワールド」観ました。
物語が進むにつれて明らかになっていくブッチの生い立ちと人物像がひたすら悲しかったです。
二回目に観た時は、サリーの目線に近い感じでブッチの行動を読み解こうとする自分がいました。
その時に感じたことなどをメモしておきます。
もしかしたらとても偏った見方なのかもしれませんが。
★最初のシーン。ヘリコプターを見上げるブッチの表情は穏やかだ。
★フィリップの家のシーン。ブッチがテリーを蹴りつけ、銃がフィリップの目の前に。一回目に観た時は、そこからのブッチの行動が謎だったが・・・ブッチはフィリップと同じ8歳の時に人を殺している(母親を殴った男を撃った)。その時の記憶がよみがえったのではないか、その体験をフィリップに繰り返させたのではないか、という気がした。
★ブッチとテリーの違いの描き方が見事。フィリップから見てどちらが信頼できる大人かは明らか。本当は「人質に取られた」という時点で「信頼」も何もありはしないのだけれど、置かれた状況での最善の行動が「ブッチの側につく」なのはアタリマエだろう。とはいえ、テリーが撃たれた後もブッチについていくのは何なんだろう? やっぱり「父親が欲しかった」ってことになるんだろうか。
★オシッコはトイレでしなくちゃならないと思ってるフィリップ。「その辺でしてこい」なんて言われた経験がないのだなあ・・・まさに「父親不在」だ。
★ハロウィンのコスチュームを買って欲しいフィリップの様子が何とも可愛い。店員に気づかれた、という緊急事態でなければブッチは買ってやってただろうなあ・・・。
★新車の家族に乗せてもらい検問を突破。正直なところ観ている方も「やった!」と感じてしまう。しかしその直後・・・ブッチの中の深い闇を垣間見ることになる。子供が叱られている様子を見るブッチの表情の変化が怖い・・・。
★食堂での女との行為をフィリップに覗かれてしまった後のブッチの行動。自分の欲望よりも息子の気持ちを優先する父親の姿だ。単にバツが悪かっただけなのかもしれないけれど。
★そしてフィリップを解放する気持ちになるブッチ。それなのに・・・
★マックが孫を叩いた瞬間、ブッチの表情が曇る。ブッチの父親に関するサリーとレッドの会話を聞いた直後の我々にはその意味がわかる。記憶がよみがえったのだろう。そして怒りが・・・でもその後には穏やかな時間も。
★そしてマックがブッチの正体に気づく。逃げるためにマックを脅しただけのはずが・・・孫を叩くマックの姿を見て、ブッチはキレてしまう。怒りに乗っ取られてしまったブッチの暴走。かつて父親から受けた仕打ちがどれほどのものであったかを思わせる。
★それにしてもブッチの行動は常軌を逸している。そもそもの原因である父親を越えてしまっているのではないか? と思えるほど。
★ブッチがマックに投げつける言葉は、本当は父親に対して言いたかったことだろう。「暴力の世代間連鎖」という言葉が一瞬頭に浮かんだが、そうじゃない。ブッチは自分よりも弱い無力な人間を攻撃するような人物ではない。けれど、結果的にマックの妻や孫を怯えさせ傷つけている。誰かブッチを止めて、こちら側へ引き戻して!
★そしてブッチを止めたのはフィリップだった・・・何てことだろう・・・。
★父親からの絵はがきは一体いつのものなのだろう? 最近届いたものなのか? だとしたらブッチが父親に会いに行くことには意味がある。しかし、ブッチが6歳の時に失踪した後、再び現われるまでの間に届いた古いものだったとしたら・・・そもそも存在しない夢に向かおうとしていたことになる。この点は、ブッチが読み上げる葉書の文面が聞き取れればヒントがあるかも、と感じたが、結局わからなかった。語学力不足が歯がゆい。
★フィリップの「ママはいい人だから」に対して「嘘をつくな」と言うブッチ。「嘘をつく気持ちはわかる」とも。自分の父親が理想の父親ではないとわかっていて、それを否定したい自分の気持ちもわかっている、ということなのか。それでもなお、父親が自分に対して愛情らしきものを表現した場所へ行ってみたかった、ということなのか。
以上、断片的ですがいろいろと書いてみました。
書きながら、何かズレたことを書いているのかもしれない、という恐怖に襲われっぱなしでした。
たぶんセリフの一つ一つに深い意味があるのだろうなあ、と思うのですが、日本語字幕ではそこが正確に読み取れません。
何とか英語を聞き取ろうとしたのですが、力不足で。
英語の字幕があればきちんと読み取れるかな?という気はするのですが。
かなり悔しいです。
最後のシーンの音楽が印象的でした。
穏やかで平和で壮大な音楽はブッチの心情を表しているのでしょうか?
これはフィクションだ、とわかっているのに、その後のフィリップのことが気になります。
どうか健やかに成長して欲しい、と願ってしまいます。
それから、マックの孫のクリーブ。
あんな恐ろしい目にあって・・・。
サリーに対して「あなたがフォローしてあげてよ!」と叫びたくなってしまいました。
クリーブもどうか健やかに成長しますように。