いい映画です。
好みは分かれるかも、ですが。
私は好きです。
以下、断片的ですが感想など。
★ピアノの音で森の景色が見えた主人公・・・これ、主人公は天才ってことだよね。原作での描写はどうなのか、そこはわからないけど。映画ではそう感じられた。
★羊はハンマーのフェルト。鋼はピアノの弦。タイトルの意味はすぐにわかる。音の森、調律の森へ主人公が分け入っていく物語なのだと。
★きちんと段階を踏んでゆく主人公。学校へ通い、楽器店に就職して、見習いから始める。いかに天才でも努力なしに開花することはない。その点はきちんと描かれるので、とても好感が持てる。
★佐倉家の姉妹と出会う主人公。姉の演奏に森の景色を見る。妹の演奏は魅力的だが景色が見えることはない。この時点で姉は天才、妹はそうではない、と観る側にはわかってしまう。
★「弟は優秀なんです」と語る主人公。自分が天才だという自覚がない。弟の側から兄がどう見えているか、というのは物語の中で明らかになっていく。
★失敗にも向き合い技術を身につけていく主人公。独り立ちして初めての訪問先でのエピソードは絶品だ。この場面だけを取り出しても一つの作品として成立するレベル。
★調律師をやめようとした主人公が戻って来るまでの流れは見応え十分。いろいろ書くよりも、観てね! と言いたい。主人公の口から多くは語られない。映像と音楽で語られる。(こういうところが好みではない方もいるのだと思う。)
★佐倉姉妹の事情が明らかになる。妹はコンクールの本番で弾けなくなってしまった。それを見た姉はピアノに近づくことも出来なくなった。
★「ピアノが弾けなくなる病気」。これは身体の声なのではないかなあ、と思った。そちらへ行ってはいけない、それは自分の道ではないのだ、と。
★辛い状況の姉妹を見るのは、映画だとわかっていても辛い。でも、必ず良い結末になるのだと信じることが出来る。これはそういう物語なのだ、と。
★そして姉妹はそれぞれに、自分自身の力で動き始める。それに力を貸す中で主人公も飛躍的な成長を遂げる。
★先輩にも認められ、「コンサートチューナー目指します」宣言。終わることのない歩みは続く。
★佐倉姉妹の姉はピアニストを目指す。これは予想できたことだけれど、妹は一体どう決着つけるんだろう、と思っていたら何と「調律師になる!」という答え。ああ、そう来るのか、そうなのか、と納得。爽やかな後味だ。
最後に一言。
ビデオじゃ物足りない!
映画館で観たかった!!