「学校へ行くクスリ」読みました。
マンガです。
萩尾望都の短編集「イグアナの娘」に収録されています。
以下、断片的ですが感想など。
ネタバレになる部分がありますので、未読の方はご注意を。
★ある朝起きたら父親がワープロに、母親が電気ジャーになっていた。これは言葉では描けない世界だ。マンガならでは。
★なぜそんなことに?は説明はされないが、両親の間で異変が起きていて、それを主人公が感じ取ったことが発端なのかなあ、という気がする。
★ん? ワープロ? この作品、何年のものだっけ。
★駅で衝撃的な光景を見てしまい、学校へ着く頃には周囲が全てモノになって、言葉も理解できなくなって・・・そんな中で中川と甘木だけが人間の姿をしている。二人は主人公を「こちら側」へつなぎ止める存在、ってことかなあ。
★だったら、ベンチに座って笑顔で犬と戯れている老人が人間に見えるのはなぜなのか。ここは主人公と母親の関係から考えてみることができそう。母親の口からは「勉強しっかりね」という言葉が繰り返し出る。ハッキリと母親に反抗はしていない様子の主人公だが、かなり息苦しいはず。老人の穏やかな雰囲気に惹かれるものがあるのだろうなあ。その点、主人公もかすかな自覚があるようだ。
★中川にもらった「学校へ元気に行くクスリ」を飲むようになってから、主人公の周囲の世界はもとに戻っていく・・・が今度は中川の姿だけがヘンに見える。ここは単純に「中川が特別な存在になった」ってことだろう。
★中川と甘木の仲をを誤解して「勉強してやる!」という態度に走る主人公。「ぼくは優等生、中川も甘木も雑菌だ!」って、おいおい、それは母親の望む道まっしぐらじゃないかあ~、そっちへ行くなあ~!!
★・・・と心配になったところへ甘木の遭難事件が起きる。ここからは怒濤の展開。何が大切なのかを思い出す主人公。中川が主人公にドロップをくれた事情を知って驚愕する主人公。そして母親に対して「かわいそう」という気持ちが生じる。親を客観視できた瞬間だ。
★こうやって元の世界に戻ってきた主人公。「成長して戻って来た」ということかな。月並みな表現だけど。母親の「しっかり勉強してね」は相変わらずだけど、確実に何かが変わっている。
こうやって読んでみると、「イグアナの娘」同様、この短編にも「親子」のテーマが流れているようです。
ま、それほど深く考えなくても、ストーリーを追って絵を見ているだけでも楽しめます。
髪に花が咲いてる中川は可愛いし、終盤家に戻ってきた父親が紙みたいにペラペラなのも笑えるし。
もしかしたら父親はもともとペラペラな人物なのかな?
若者たちよ、親たちのことは放っておいて青春してね! です(^^)